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「相手が鯨じゃでかすぎるョ −宮城の巻−」


監督:枝川 弘

脚本:高橋 二三

主なゲスト
伊達ゴロウ・・・高峰圭二


さてK-100は紋太、隆を乗せて宮城県、仙台市にやって来た。
仙台城跡伊達政宗像を見ているとそこに節子が、そして嘉代とノブちゃんが現れる。
慌てて逃げようとするがいつもと様子が違う、話を聞くと嘉代は有り金全部すられてしまったという。そこで鹿児島から送金が来るまで紋太の世話になりたい、その間は捕まえようとはしないという事だった。

そして紋太はバイトを始めるが大量のいわしを3枚におろせという仕事に「もっと大きな魚をさばきたい」と不満を漏らす。
それを聞いたご主人から、紹介状を書くからそこに行けと「牡鹿半島、鮎川町、大海洋ホテル社長、伊達ゴロウ様」宛の紹介状をもらう。
「社長さんですか!」と感激する紋太。
「行けば分かるさ、何もかもな」と少々思わせぶりな主人の言葉を聞いたか聞かずか意気揚々と日本三景のひとつ松島を越えて牡鹿半島(おじかはんとう)から鮎川町へ。

同じ頃節子も鮎川町の鯨博物館で何やら企んでいた。

鮎川の波止場で社長の運転するモーターボートを待つ紋太、嘉代、ノブちゃん。
そしてお客に続いて降りて来た青年(ゴロウ)に「社長さんですか?」と声をかけて紹介状を渡す紋太。
「大きな魚を料理したいなら期待にそえられると思いますよ」とゴロウ、そして一同が手にしているサンドイッチに気が付いて、「こんな所よりもっと見晴らしのいい所があります」と一同を促す。
その言葉に豪勢な食堂で食事をおごってもらえるんじゃないかと期待して付いていくノブちゃんと嘉代。

そして到着したのは鯨の解体場だった。紋太の腕を振るう相手は鯨という訳だ。
それを聞いて驚く一同!嘉代は鯨油の臭いがたまらんと言う。しかしゴロウは、
昔から鮎川の人間はこの臭いの中で生まれ、育ち、そしてこの臭いの中で死んでいくんです、ここは鮎川の歴史が人目で見渡せる所です、ここでお食事をどうぞ」

しかし一同この臭いに躊躇して食べようとしない。
「食欲がなくなったので食べずに捨てる」と言う嘉代の言葉に「もったいない」とみんなのサンドイッチを取り上げるゴロウ。
いつでも仕事はOKだが鯨はいつ捕れるか分からない、と言うゴロウの言葉に怒る紋太だが、嘉代は今夜の食事と泊まる所を期待してホテルの場所を聞き出した。しかしいざ行ってみるとそこは未だ建設中とも言えない工事現場!
どういう事かと作業員を掴まえて聞いてみるとそれはゴロウだった!

「後10年もすればホテルができあがるでしょう」と言うゴロウ、社長というのも肩書きではなくてただのニックネームだったのだ。
「ペテン師」と怒り出す嘉代をなだめて帰ろうとする紋太。

その帰りしなの「誇大妄想狂」の一言に反応するゴロウ。
親父が自家用の海水浴場付きのホテルを建てる夢を引き継ぎ代々うちの所有のこの土地に自分の力だけで10年かかろうが20年かかろうがホテルを建てるつもりだ!というゴロウに圧倒される紋太だった。

鮎川の港でしょぼくれている一同、そこに節子がやって来た。
鯨が来るの報を聞き、K-100に鯨を引かせて写真に撮ろうというのだ。もちろんK-100にはお金も入るし、そのお金も前金でここに用意してあると言う。見せ物にされるのはごめんだ!と紋太と隆は反対するが、節子から封筒の金額を聞いた嘉代の「紋太、やんなさい!」一声には逆らえなかった。

港では紋太と隆が鯨についてK-100に説明していた。そんな隆や紋太の心配をよそに景気よく汽笛を鳴らすK-100。
そして捕鯨船が入港し、次々にワイヤーで引っ張られて水揚げされる鯨達。それを目の前で見ていたK-100はと突然ふるえて走り出してした!
どうやらK-100は鯨を初めて見たため恐ろしくて逃げ出したらしい。
笑い会う紋太と隆。

慌てて追いかけてくる節子に「K-100は鯨が怖いので引き上げはできん」という隆の言葉に汽笛を鳴らして応えるK-100。
節子は「だめねえ〜、だめなK-100!本当に臆病なんだから」
これでギャラはなしかとガッカリする嘉代だったが「これから鯨の解体作業のアルバイトに行ってお母さんやノブちゃんを飢えさせるようなことはせん」といつになく男らしい紋太だった。

そして紋太と隆は金華山灯台の前に止めていたK-100の所で出発準備。そこに節子が嘉代の所に送金があり紋太を掴まえる気になったとやって来た。それを聞いて急いで逃げなくちゃと思う紋太だがハタと−
「じゃぁアルバイトのお金は僕が自由に使ってもいい訳じゃな」

そこで紋太はゴロウの所へ、そしてお別れにとお金を差し出す。自分の力だけでやるのでこの金は受け取れないと言うゴロウに
「これはホテルが完成した時、一番に部屋を予約してもらおうと思って、その予約金じゃ」
「予約金?」
「そうなんじゃ、10年先か、20年先か、できあがった時、僕はきっと来る!」
「ありがとう!、紋太さんはうちの泊まり客第1号だ!」
がっしりと腕を握り会う二人、そこにタクシーで嘉代がやって来た!「紋太!逃がしはしないからね」

しかしそこにゴロウが割って入り、自分の為にせっかくの金一封を差し出すなんていい息子さんをお持ちだ、僕のお袋も生きてれば嘉代と同じくらいの歳なので親孝行のマネゴトにモーターボートで金華山付近まで案内させてくれと言う。
その言葉にホロっと来て了解する嘉代。

そして嘉代とノブちゃんはモーターボートで海の上へ、しかしその間にK-100は出発してしまった!
それをボートの上から見てる嘉代、社長に岸につけるように言うが一応観光コースを回らないと帰れないと流し、
「え〜左に見えますのがかの有名な金華山でございます。右に見えますのがかの有名なK-100でございます」
白浜の浜辺を走るK-100、それと平行して走るモーターボート。
そこに節子がやって来て「紋太くんと社長さんのチームワークはバッッチリね」と写真をパチリ。
節子に手を振り笑っている紋太さんと隆くんの姿がストップモーションになって
(つづく)


さて今回は紋太さんと伊達ゴロウの友情の巻き!
熱いドラマです。ゲストの高峰圭二氏はこの前年放送のウルトラシリーズ「ウルトラマンエース」の北斗星司役の方ですね。その後は比較的悪役が多く、よく必殺シリーズでも仕置きされていました。なんかウルトラマンをやる方はその後悪役に行く事が多くありませんか?

しかし今回最大の見物は鮎川の鯨の水揚げの映像です。映像上はどうもマッコウとゴンドウが混同されてるので、水揚げの映像自体とケー100が絡むカットは別の日に撮影した映像を編集したみたいです。

ちなみにシナリオでは紋太が初志貫徹、鯨を解体してたそうですが、枝川監督の判断でケー100が鯨から逃げるという流れに改訂されたとの事。

さて次回は岩手県、北海道上陸まであと青森県を残すのみです。お楽しみに!
(2002.8/20up・2013年11月5日、一部修正)


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