石橋正彦裏話
ペテン師石橋こと、杜沢泰文(現・杜澤たいぶん)様が掲示板に書いてくれている
裏話をお借りしている写真と共に再掲載しています。
 
石橋正彦裏話その12  投稿日:2008年 2月26日(火)13時03分41秒

 人は誰でも自分の人生に置いて一人や二人、必ずその人の生き方を左右するような恩師に出会うものです。
私にとってその大切なひとりが「大野先輩」なのです。
K100のレギュラーが決まるまで、ちょこちょこTVには出ていましたが、本格的に
TVに出たのはK100が初めてでした。

私にとって「大野先輩」は雲の上の人。当時は何本もレギュラーを持っていてロケ地を
行ったり来たり、それはそれは大変な忙しさでした。
そんな中「大野先輩」は新劇出身の何も知らない私に色々お話をして下さり、本当に色々な事を教えてくれました。

第49話、幽霊メイクの大野しげひささん

 正しくドラマの「紋太先輩」そのもののお人柄で、決して先輩風をふかせたり、偉そうにすることもない裏表のない、愛すべき兄貴みたいな先輩でした。
ファンに対する対し方も何の飾りもなくそのままの「紋太先輩」でした。

ある時、旅館の数も少ないロケ地で製作の「白井さん」(現在は監督)から部屋数が少ないので「大野先輩」と同室してもらう事になったと言うのです。

「え!それ本当ですか?でも「大野先輩」には了解を頂いたんですか?」
「うん、大野さんにお願いしたら、正彦となら良いよって言ってくれたよ」

この時の私の嬉しさ、感激、分かって貰えるでしょうか!
涙が出るほど嬉しかったのを覚えています。
ロケバックを持って「大野先輩」の部屋へ。(怖々・恐る恐る・緊張と・・・)ドアを開けるとあの何時もの笑顔で

「おう、正彦 部屋がないらしいんで宜しくな」

普通先輩からこんな事言って貰えませんよ。
「(ドギマギ)ああ、すいません。こちらこそ宜しくお願い致します(ドギマギ)」
なんと屈託のない先輩でしょうか。

同じく49話のさとうきび畑での1枚。しばかれる正彦?

 ある時は「大野先輩」と食事をしていた時、お店の方が色紙を持ってサイン貰いに来ます。勿論「大野先輩」は快くお受けするのですが、困った事に私にも書けと言うんです。私は今までサインなどした事がありませんのでお断りすると

「この子、今一緒に出演している正彦っていいます、宜しくね。さあ書いて」
「あ・・あの・・楷書でもいいでしょうか?」
「いいよ」
「・・・誰も知らない私のサインを誰が喜ぶでしょうか・・・」
「でも書きなさい、書かなきゃ駄目!」

とこの時ばかりは少し怖い顔して先輩は言うのです。仕方なく楷書で「杜澤 泰文」と
書きました。私の初めてのサインです。この思い出は今でも鮮明に覚えて下ります。
こうやって思い出に残る初めてのサインは「大野先輩」のお陰なのです。
その後ひとり部屋でサインの練習をしました・・・(でも今でもサインは苦手です)

また貧乏役者の私に「大野先輩」は私の負担にならないように何気なくおごって頂きました。いつもいつもおごって頂きました。そうして教えて貰った「大野先輩」の人に対する気遣いは還暦を過ぎた今も私の中に生きていて、私の人生に大きな役割を担っているので
す。
「大野先輩」!先輩には敬意を表すべし!(敬礼)何時か又逢える日を楽しみに!


杜澤たいぶん。