18
「進めや進めレールの上を −茨城の巻−」


監督:枝川 弘
脚本:高橋 二三

主なゲスト
宮田技師・・・高津住男
工場の守衛・・・寄山弘


隆と紋太を乗せてK-100は茨城県大洗海岸(おおあらいかいがん)にやって来た。
すると目の前に剣道の稽古をしている少年達がいた。その中の一人(信介)がK-100に向かって「線路の上を走らない機関車なんか機関車じゃない」と言い、その一言がきっかけで隆君とその信介は剣道で対決する事になった!次元流(薩摩)対北進一刀流(水戸)の対決!

そして一行は弘道館(こうどうかん)へ。
紋太の「はじめ!」合図で3本勝負が始まった!そこに節子とノブちゃんもやって来る。激しい打ち合いの末勝負は引き分けとなった。そしてお互いに堅く握手をする隆とシンスケ。

偕楽園(かいらくえん)にK-100を止めて薪拾いをしていた紋太と隆は、戻ってくると信介がK-100に向かって語りかけている声が聞こえてきた。
「K-100、僕はお前が可哀想でならないよ。機関車ならレールの上を走るのが当たり前だもの。なぁK-100・・・お前も本当は一度でいいからレールの上を走りたいんじゃないのか?」

それに答えて汽笛を鳴らすK-100に驚く隆。北海道のおじいさんも車輪のついたK-100を見たいはずという事で信介と隆は意気投合。2人でなんとかしようという事になる。紋太は「無茶じゃ」と釘をさすが突然の腹痛で一週間の入院を余儀なくされてしまう。医者の話では疲れが出ただけで静養していればいい、という事でその間、節子も線路の上を走るK-100の写真を撮るため隆達の協力をする事になった。

その頃隆とシンスケは機関車工場を見つけて守衛に談判するが、信じてもらえず追い返されてしまった。
節子も工場の場所を調べて先週の約束通り宇宙アミューズセンターに「これからもK-100のショッキングな写真をるのでよろしく」と大忙し。

隆達はm守衛を通さず直接技師に会い車輪を借りれるように頼もうと、工場内に潜入する事にしてまんまと成功。
そして工場内狭しと並んでいる機関車や電車の部品に感激。SLマニアの自分達は感激ひとしおだった。
そうこうしてるうちに宮田技師と遭遇!そこで事情を話そうとした所に守衛が怒鳴り込んで来た!

すると病院の下に止まっていたK-100の汽笛が鳴り出し、何事か起きたと悟った紋太はベッドを抜け出しK-100に乗り込む。
弘道館の前でバッタリ節子とノブちゃんに会って何やっているのかと止められるが「K-100が勝手に走っているのでどうにもできん」とそのまんま機関車工場へ!

その頃工場内では、隆と信介が宮田技師にさとされていた。ただ車輪を付け替えると言ってそう簡単じゃない。それにケー100に合う車輪もあるかどうか。

そして宮田技師から「君たちのケー100に対する愛情は認めるが、ケー100という車が自分でレールの上を走りたがってるというのは僕には信じられない」と言われてしまう。
すると突然工場内の機関車の警笛が一斉に鳴り出した!
どうした事かと慌てる一同。
その頃K-100の汽笛もその警笛と呼応するように鳴り続けていた!
そこで隆はK-100が工場に来たのではと思い当たる。
「だから仲間の機関車がK-100の為に挨拶しとるんじゃ!」
表に出てみるとまさしくK-100が工場に入ってきた所に隆と信介が駈け寄り、その後ろから宮田技師もやって来た。
驚きの目でK-100を見る宮田技師。

そしてその視線はケー100のゴムタイヤに。

それから暫く後、隆と信介が大洗海岸で釣りをしている所に紋太が宮田技師をK-100に乗せてやって来た。
なんとK-100に車輪をつけられる事になったと言う。大喜びで一同はそのまま工場へ!
タイヤをはずされて工場内を運ばれてくるK-100に車輪をつける技術者たち、無事にK-100に車輪はついたものの後はどこの線路を走らせる事ができるかという問題だが、そこはすでに節子が鉄道会社に話をつけてレール使用許可を取り付けてあったのだ。

トラサーバーに乗り、厳かに工場から出てきてレールの上に運ばれていくK-100の雄姿。そしてついに、K-100はレールの上を走り出した!

工場の人たち、ノブちゃん、信介、節子達の熱いエールに包まれて、うれしそうに汽笛を鳴らしながら隆と紋太を乗せてK-100はレールの上を進んでいく。
(つづく)


前回の爆走ぶりが記憶に新しいK-100ですが今回はそういう意味ではおとなしめです。しかしケー100全体としてとても重要な一遍、K-100線路走行用車輪誕生の巻きです。今回は名作ですよ
しかし隆くんが剣道をやっていたのは初耳のような・・・やはり薩摩隼人としてのたしなみでしょうか。

ゲストの高津住男氏はケンちゃんシリーズの末期(1979年の「カレー屋ケンちゃん」から「ケンちゃんチャコちゃん」「なかよしケンちゃん」最終作の「チャコとケンちゃん」の4作)でケンちゃんのお父さんを演じていらした方です。
※2010年7月31日、肝臓ガンの為亡くなりました。享年74。(2010年8月7日追記)

寄山弘氏は30年代の日本映画黄金期から脇役をやっていらっしゃるベテランですが「大草原の小さな家」のハンソンさんの声の方と言えば通りがいいかも知れません。

今回は茨城県の大洗海岸から始まりますがそうすると埼玉県と千葉県はすっ飛ばされてしまった事になりますね。
ではなんで今回は埼玉でも千葉でもなく茨城県でなくてはいけなかったのか?

それは本編を見れば一発です。そう、茨城県にケー100のスポンサーでもある日立製作所の工場があり、この工場を借りてのロケの為にこのエピソードは茨城県でしかできなかったんですね。実際ラスト近く、工場から出てくるK-100のバックの工場に日立のマークが輝いています。
線路も工場内の引き込み線路から一般鉄道と併走している部分で撮影された物と思われます。
工場内にはいくつも引き込み線がありますし、どの工場か?併走していた所はどのあたりか?は時間が無いため特定できてませんが地元の方なら分かるかと思いますので情報待っています。

※ゆゆゆさんが掲示板に書いてくれまいたが、ケー100が走ったのはJR常磐線勝田駅に隣接する日立製作所専用線の社員輸送列車ホームだそうです。口コミ参照

しかし工場内をつるされてるシーンのK-100の格好良さ!嘘のはずのK-100がこのシーンは現実の“物”としての存在感にあふれていて鳥肌たってしまいました!(本当、キャプチャーした画像を掲載したい!)

車輪の付いたK-100はそのシュルエットがちょっと貧相ですがそれでもやっぱりレールの上を走る姿は感動的です。
まるでサンダーバードの発進シーンのように工場を出てレールの上へ運ばれるK-100の雄姿にはTVの前で無言になり固唾を飲んでしまいました。
なんかこういう気持ちの高揚感という物を久しぶりにTVドラマを見ていて味わいました。

さて次回は福島県です。お楽しみに!

(2002.8/4up)


放送リストへ                       19話へ