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「 機関車闘牛計画をつぶせ! −天草の巻−」


監督:青野 暉
脚本:高橋 二三

主なゲスト
ナオコ・・・橋本 美佳
ナオコの母・・・高村 章子
久男・・・神谷信弘
久男の友達・・・山野辺敦


K-100は今、天草松島にかかる天草五橋(あまくさごきょう)を走っていた。

気ままにK-100を止めて薪を拾いにK-100から紋太が離れた隙に、石橋がこれから訪ねる天草の子供達から来た手紙を持っていってしまう。

K-100に汽笛を鳴らされて逃げ出す石橋。そして汽笛を聞き戻ってきた紋太は手紙が無くなってる事に気が付いた。
そこに節子がタクシーで現れて事情を話す紋太。手紙がないと子供達を訪ねられないと言うがK-100で町中走れば子供達から寄ってくるから大丈夫と節子。誰かが持っていたかもしれないと懸念する紋太だが、そんな使用済みのはがきを持っていく物好きなんてと一度は否定した節子だが2人の頭には石橋の姿が浮かんだ!

紋太には気になる1枚の手紙があった。それはK-100の絵だけ描かれた手紙だ。他の手紙には「K-100に会いたい」とか何かしらメッセージも書かれているのにその手紙にはK-100の絵が描かれていただけだったのだ。

その頃石橋は、盗んだ手紙の住所から崎津天主堂(さきつてんしゅどう)のある崎津(さきつ)の町にやって来た。
早速手紙の主の子供(久男)を見つけて「全日本K-100友の会天草地区代表」に選ばれたとたたえる石橋。

沖縄に着いた後、ケー100をバラバラに解体してそれぞれのパーツを日本中の代表に渡す事になったので、その権利が当たったという事だ。好きなパーツを指定できるが梱包代、送料、手数料を負担してもらはなくてはいけないと1500円を子供から巻き上げる石橋。引き替えに紋太の名義の領収書を渡して取引成立という訳だ!

そんな悪事が進んでいるとは露知らない紋太は、絵だけのはがきを書いた子(ナオコ)のお母さんに呼び止められていた。
ナオコに「K-100だよ」呼びかけるお母さんだがナオコは答えず黙々と絵だけを描いている。
「K-100に会いたくないのかしら」と心配する節子だ、が凄く会いたがっていてハガキを出したとお母さん。
ナオコは小さい頃体が弱く、家にばかりいたせいか友達もあまりいなく、いつも一人で人見知りの激しい子になってしまったとの事だ。

それを聞いた紋太は「まずK-100と友達になってもらおう」とナオコに話しかける。そしてK-100も汽笛を慣らすがその汽笛は石橋の耳にも届いていた。目の前にK-100を見つけ、すぐにとんずらしようとする石橋だが、鹿児島と沖縄の子供のハガキも盗んで同じ手口でガッパリガバチョと儲けようと物陰から隙をうかがう事にする。
丁度その時紋太は「K-100を浜辺に置いておくのでナオコちゃん以外は近づかないから遊びにおいで」と言ってる所だった。

さて、K-100を浜辺に置いて物陰から様子をうかがっていた紋太と節子。
そこにナオコが来てK-100見ているが、そこに子供達が「ケー100だ!」と走って来てナオコは逃げて行ってしまう。ガックリしつつみんなの前に姿を出す紋太。
しかしそこで「全日本ケー100友の会天草地区代表」の話が出て石橋の企みが発覚。とにかく子供達に謝り石橋を探しに行く事に、K-100は絶対戻ってくる証拠にと浜辺に置いて行かれたが、残った子供達も石橋を捜しに行ったのでK-100だけ浜辺に残されてしまった。

物陰から成り行きを見ていた石橋は、逃げようとしていたがチャンスとK-100に近づき追いかけ回される羽目に。
しかし石橋はコートを脱ぎ、K-100を闘牛、コートを赤い布に見立てK-100をさばいていたが、そんな石橋の脳裏にはスペインの闘牛士のイメージにカルメン前奏曲が響き、「これだ!闘牛の見せ物で大儲けだ!」とコートでライトを目隠しして「これでK-100は僕の物だ」と乗っていってしまう。しかしその一部始終をナオコちゃんが物陰から見ていた。

そして紋太はK-100を探して本渡市(ほんどし)へ行くと、そこで機関車が闘牛をする見せ物の話を聞きつけ殉教公園(じゅんきょうこうえん)へ。その頃殉教公園では、石橋は大勢の人を集めて闘牛士ルックに身を包み弁舌鮮やかに口上中。

「さて、これより始まりますのは機関車と人間の決闘であります。大人100円。子供たったの50円でございます。人間が機関車に倒されるか、さてまた機関車が人間に倒されるか!これこそ世紀の大スペクタクルショー、世界初公開、本邦初演でございます」

と帽子をひらりと脱いでお金を集めて廻る石橋。この調子で日本中廻ったら笑いが止まらないねぇと金を鞄に入れていよいよショーの開始!
「まず、これなる機関車K-100は、このようにライトを被われていると神通力を失いただの平凡な機関車にすぎません。しかし、ひとたびこのおおいを取るやいなや、あ〜ら不思議。だ〜れも運転していないのに独りでにシュシュポポと動き出すのであります。では世紀の一瞬!K-100に生命を与えます」

と、サーベルでK-100のライトの背広(コートじゃない?)を取り、いざ構えるが肝心のK-100はちっとも動き出さない。客からはブーイングの嵐で困り果てる石橋だが、その騒ぎの最中に紋太が現れそれを見つけた石橋は一目散にトンズラ。残った紋太は客から仲間だと疑われてどうしょうもない。

騒ぎが収まらない中に節子がやって来て、お金を払った人たちを順番に乗せて殉教公園を一回りする事を提案、あまりの人の多さに紋太は躊躇し、K-100に「やってくれるか?」と聞くと汽笛一発!話はまとまりなんとかこの場は収まった。

最後の一人を乗せ終えて一段落だが、まだ紋太は子供達から石橋がだまし取ったお金を返すため節子の紹介でお菓子屋(イソップ製菓)のバイトを始める。
するとそのパン屋にナオコがやって来て、K-100の居所を聞くと休ませる為に明徳寺(みょうとくじ)に預けてあると言う事でナオコちゃんは明徳寺へ。

丁度その頃、ナオコより一足早く石橋がK-100を見つけてライトに袋を被せていた。それを物陰から見ていたナオコは紋太の所へ走る!「紋太さん、大変よ!又あの人がケー100で変な事してる!」

それを聞き紋太は明徳寺へ走るが、途中石橋の待ち伏せにあい、網に捕らわれてしまう。
意気揚々と境内に戻った石橋は「これで金の生る木を手に入れたも同然だ!綺麗綺麗にすれば金がガバチョガバチョと入ってくる。笑いが止まらんね〜」とK-100を磨いていると、そこにナオコや子供達と一緒に来た節子に助けられた紋太が登場!

K-100の前に立ちはだかるがライトを隠されたK-100は石橋の意のままに紋太を追いつめ、なんと紋太の片足はK-100のタイヤの下敷きに!

さすがにちょっと気がとがめたらしい石橋だが「K-100を僕に譲ってくれればなんとかしますよ」と持ちかけるがそんな申し出は突っぱねる紋太。あれこれ言っている隙にナオコがK-100の荷台からサーベルを抜いて、ひょいとライトの袋をはずした!

汽笛一発!紋太から離れたK-100は石橋を振り落とす!
石橋は子供達に囲まれボコボコに、そして金も取り返したので子供達を止める紋太。
「あたしねぇ、2つも3っつも叩いちゃったの」と言うナオコをたたえる子供達。そんな子供達の中で笑っているナオコの姿にお母さんは感激。

隙を見て逃げ出す石橋に「もう悪い事するんじゃないぞ!」と一喝してそのまま見逃してやる紋太。(いいのか?!紋太さん!)
そして石橋から取り戻したお金をナオコから子供達に渡してやる紋太。それを見ていた節子も「これでナオコちゃんもみんなと仲良くなれそうですね」と、お母さん共々一安心。

そして旅立ちの時、紋太は「風ひかないようにするのよ、それからあんまり食べ過ぎるとお腹壊すから」とすっかり明るくなったナオコちから子供みたいに言われて、それを聞いた子供達からみんなで笑われていた。

そしてまだ仕事があるという節子と後での合流を約束して、K-100は来た時も通った天草五橋を走り出す。
ナオコちゃんの笑顔に見送られて。
(つづく)


今回は美しい天草松島の風光明媚な風景をバックに石橋が大活躍!
そう、紋太でも節子でもなく今回主役は石橋です!

とにかく石橋がひっちゃかめっちゃかで全編ハイテンションに暴れまくり闘牛士のコスプレまで披露!石橋見ているだけで楽しい一遍です。

青野監督の回の石橋は生き生きとしていてペテン師度数が高いようですね。
今回で言えば殉教公園での口上や金を集めている時に一人一人に声をかけるコメントが「おじいちゃんは長生きしてよかったね」とか「おじょうちゃん可愛いね〜、大きくなったらいいお嫁さんになるんだよ」等いちいち気が利いていて最高です。

石橋もK-100には毎回勝てないくせに自分の身を挺して金を稼ごうなんざ、なかなかのチャレンジャー!
しかしあれだけの事(紋太を轢くとか)をしでかしても紋太は一喝して見逃すとは・・・そんなこっちゃ改心せんのはわかっとるじゃろうが!

久しぶりにK-100のライトネタといい、これだけならドタバタな話とくくってしまう所ですが、ナオコちゃんのエピソードが絶妙なバランスで入ってきます。
又、騙された子供達と紋太が最後に力を合わせて石橋を追いつめる所なんかは子供番組の王道という感じで実にいいです。
なんだか脚本が高橋二三さんの回は安心。

節子もここぞという時に現れて紋太をサポートし、非常にできのいい回でした。
(あえて突っ込めば石橋がコートで隠していたはずのライトに背広が掛かっていたりとか、ナオコちゃんが唐突にしゃべりだすとかありますけどね)

紋太がK-100に頼らずバイトするというのも折り返しの旅では初めてでしょう。
バイト先はパン屋かと思いましたが劇中確認できる車の「天草嶋羊羹」の文字を拠り所に調べましたら「イソップ製菓」というところがひっかかりました。

ナオコ役の橋本 美佳さんは他に「イナズマン」等に出演しているようです。
お母さん役の高村 章子さんはあの「ムーミン」(71年版・東京ムービー・フジテレビ)のムーミンママなどやっていらした方で主に舞台で活躍みたいです。

さて次回は熊本県、残すところ後6回です!お楽しみに!

(2003.3/8up)


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