石橋正彦裏話
ペテン師石橋こと、杜沢泰文(現・杜澤たいぶん)様が掲示板に書いてくれている
裏話をお借りしている写真と共に再掲載しています。
 
石橋正彦裏話その7  投稿日:2008年 2月 1日(金)22時48分9秒

 「48年10月30日付け敦賀」台本の裏に書かれた日記をご披露しようと思います。つたない文ですが当時の私の其の侭の気持ちが書込まれていました。

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充実しているのかいないのか変な気分。あの高校生の時の様な自分みたいな気もする。
毎日仕事に追われて?いるみたいな、いないみたいな、とてもおかしな精神状態である。
初めて役らしいものにありついた、あの興奮状態はいつしか不安感へと移行している。

毎日宿に帰ればヌード写真の出ている週刊誌などをしみじみながめるだけで、他にどうしようという事もなく、からっぽな頭がカンカンと鳴っている。

波の音が聞えてくるにはくるが、「風の音かな」と一瞬勘違いする位波も静かだ。
本でもあれば読みもするだろうが買い行くにも時間がかかり過ぎておっくうである。
のんびりしすぎて、犬などもひなたっぼっこをして吠えもしない。

赤裸々なヌード写真を見ても、あまりにかけはなれた所にいる自分の様で
部屋の隅でこっそり見て興奮した自分にはとてもなれそうもないみたいだ。
でも、「ああ、女の柔肌だぞ」と無理やり思い出しては、生つばをのむ。

ああ、あの汚い空の、汚い町「東京」を恋しく思えるのは
やはり「東京」という言葉のひびきに、俺を惹きつける何かが・・・
「東京」というところにあるのだろうか?・・・。(原文のまま)
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打ち合わせ中?

 福井の巻後編「三方五湖」での撮影後東京に帰る事になっていた為、「ああ、もうお終いか、もうK100には帰って来れないかも(自分のつたない演技で駄目かな)」
でも台詞では「沖縄まで食い下がって行きますからね!」って言っていたよなぁー
なんてとても不安な毎日でした。

東京に戻ってまたアルバイトしなきゃならないのかなぁー・・・。
東京を恋しく思う自分と、仕事が(撮影が)あって空気の綺麗でのんびりしている所にいると、何故か自分が駄目になっていってしまう様な気持ちとが交差している・・・

杜澤たいぶん。