石橋正彦裏話
ペテン師石橋こと、杜沢泰文(現・杜澤たいぶん)様が掲示板に書いてくれている
裏話をお借りしている写真と共に再掲載しています。
 
石橋正彦裏話その13  投稿日:2008年 3月 4日(火)16時59分26秒

第36話福井の巻前・後編「枝川 弘」監督でした。

「正彦、枝川監督には気をつけろよ!」
と大野先輩が真面目な顔をして言うのです。

「え!(もしかして怖い監督さん!)ど、どうしてでしょうか?」

「あのな、枝川監督はお酒が好きで、食後の後も誰かを見つけては酒を飲ませたがる方なんだ」

「(なぁーんだ)そうなんですか」

「付き合うと監督酒が強いから、それこそ朝までなんてことになるぞ。それで次の日は監督はケロッとしてるけど、役者はヘロヘロ。撮影で台詞言えなかったら「君は何故台詞を覚えてこないんだ?!」って怒られる」

「(自分で飲ませておいて・・)分かりました。気をつけます!」

「それからな、もうひとつ 監督はカニが嫌いだから間違ってもカニを持っていったりカニの話はしないこと」

「カニ?が嫌いなんですか?え、どうしてですか?」

「監督いわく『あんな横に歩くのなんか食えるか』なんだそうだ」

(・・ふふ、まるで落語。「俺酔っているのか?」「どうして?」「だってこのカニ、縦に歩いてやがるぜ」ふふ、面白そうな監督だな・・早く逢ってみたい)

第50話、演出中の枝川監督。

 ある夜の事。食事が終わってスタッフの方と飲んで部屋に帰ろうと廊下を歩いていると廊下の真ん中で座って話してる人がいるのです。
枝川監督とその前でかしこまっている「山内助監督」なんです。
真っ赤な顔をした「山内」さんは「おう、良い所に来た」と助けて!言わんばかりに僕を見るのです。

枝川監督は片手に酒のボトルを持って茶碗を差出し「おう、おう 正彦!飲め!」
つまり監督は廊下の真ん中に座って、来る人来る人に声を掛けてはお酒を飲ませていたのです。

監督に見つかったら最後飲まなければ帰して貰えません。その時は誰か他にもスタッフの方が犠牲になり、やっと監督を部屋にお連れした様に覚えています。とにかくとっても楽しくお酒を飲む監督さんです。

そして翌日は何にも無かった様にケロッとして「よーい スタート」
私が言うのも失礼ですが、なんとも憎めない楽しい監督さんです。

49話、撮影中の枝川監督。

 枝川監督は大映映画出身の監督さんで映画は勿論の事、K100の前にも沢山のTVドラマを演出されていています。演技の駄目出しも実に心情的で役者の気持ちの盛り上げ方、作り方を随分教えて頂きました。
前のシーンのスチエーションをしっかり頭に入れて置かないと中々OKを出してくれない監督さんで、気持ちのつながりを大事にすることを教えて頂きました。

監督に教えて頂いたこと、今もしっかり役作りに役立てています。

K100の終わってから突然監督から電話を頂き「天下一大物伝」主役の対抗馬の役をやらせて頂きました。
「天下一大物伝」皆さんは覚えていますか・・・。

杜澤たいぶん。