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「隆くんがやって来た −大阪の巻−」


監督:枝川 弘
脚本:才賀 明

主なゲスト
ノガワ先生・・・藤岡重慶
自動車修理工・・・大村崑


ここは大阪・御堂筋、今ここで隆はK-100が来るのを待っていた。
土日の2日間だけという約束で今K-100がいるであろう大阪にいとこのカオリちゃんを頼って出てきたのだった。

その頃K-100は太陽の塔を横目に万博会場跡の脇を走っていた!
道路が大阪との分岐点に差し掛かった時、渋滞の予想される大阪を避けるため真っ直ぐ行こうとした紋太に反して突然K-100は大阪方面に進路を変えた!
そして大阪市街を走っていたK-100は今度は突然動かなくなってしまった。

そこに「線路もないのになんで機関車の音が?」と出てきた自動車修理工に丁度いいとK-100を預けて修理してもらう事にする紋太はラーメン屋で食事をして出てきた所でバッタリ中学時代の恩師であるノガワ先生と再会する。
「懐かしい、とにかくあそこで一杯やろう」と先生に促され、炉端焼きの店で昼間っから酒盛り状態!
最初は喜んでいた先生だったが紋太の近況を聞いてる内に様子が変わった!
「まじめに働いとると聞いてたから喜んどったのに、そんなおかしげな機関車を乗りまわして、まだブラブラ遊んどったとか!」

その日の夕暮れ、淀川の橋の上で隆くんは明日こそはK-100に会えるだろうかと考えていた。
一方紋太さんはノガワ先生の家で「お前をなんとしても鹿児島の両親の元に送り届けるのが教師としての役目じゃ」と酔っぱらった先生からこんこんと説教されていた・・・

次の日、大阪城に嘉代とノブちゃんがやって来た。そこで写真を撮る節子をみつけて慌てて隠れる2人。
そして節子は中之島公園(?)で隆くんと再会!早速隆はK-100の所在を訊ねるが「見失っちゃったのよ」と言われ落胆するしかなかった。

一方、K-100を預けてある自動車修理工場では、K-100が直ったという事で試運転をするが今度は止まらなくなってしまった。
川沿いに走り続けるK-100はようやくとある橋の下で止まった。
丁度その少し前に隆くん達が通り過ぎた橋だ!
修理工は止まるを幸いK-100を「化け物」呼ばわりして逃げていってしまった。
そしてK-100は汽笛を鳴らす、とその音が隆の耳に届いた!
それを聞いた節子はカオリちゃんも含め分かれてK-100を捜す事にする。

一方、修理工場にやって来た紋太はK-100が無いので慌てふためいていた。
その姿を見て一喝するノガワ先生。そんな先生を振りきって紋太は走り出した!
ノブ、今日中に紋太を見つけんと給料やらんからな」とそこに現れる嘉代とノブちゃん!
走ってくる紋太を見つけ追ってきた先生を突き飛ばし追いかけ始める!

しばらく追っかけっこのあげく、紋太の前に立ちはだかるノブちゃん!
「堪忍して〜、紋太さんを捕らまえんと給料がもらえんとよ!」
ひるんだ隙に後ろから嘉代に追いつかれて取り押さえられる紋太。
「逃げも隠れもしないから放してくれ」と言うも「騙されん」としがみつく嘉代に
「スッポン先生からも説教されたけん大丈夫じゃ」
「スッポン先生?」
「中学時代にお世話になったノガワ先生じゃ」
とそこに腰を押さえてやって来るノガワ先生、駆け寄って挨拶する嘉代。「腰ばどうかされたとですか?」
「さっきあんたが突き飛ばしたんじゃ」
そこに節子がやって来る。

嘉代は節子にも「紋太は先生の説得で鹿児島に帰ることになったんじゃ」と大喜び。
しかしそれはみんな紋太の芝居だった。
節子の所に行って事情を話すと節子も調子を合わせてくれるが。そこで紋太は隆が大阪に来ている事を聞かされる。
「まいった〜、K-100がいないんじゃ」と頭を抱えているとそこに聞こえてくるK-100の汽笛!
芝居の事はどこへやら?いちもくさんに走り出す紋太は、そのままK-100に乗って走り出しK-100も景気よく汽笛を鳴らす!

その汽笛は疲れて土手で座り込んでいた隆くんにも届いた!
「K-100じゃ!」

叫ぶやいちもくさんに土手の上に駆け上がる隆。
その目の前に現れた隆との再会を喜ぶように間断なく勢いのいい汽笛を響かせるK-100!
そしてついに隆くんとK-100は再会を果たした!

そこに追いついてくる嘉代、隆を見て驚いているとそこで紋太は急に思い当たった!
「解った、K-100は故障してたんじゃなかったんじゃ。隆くんに会いたくて大阪に無理矢理に来てそこで動かずに待ってたんじゃ!そうじゃろK-100!」
するとK-100も勢いよく汽笛を鳴らして答えた!それを間近で見て「あ、K-100が返事した!?」と驚くカオリちゃん。
うなずく紋太。
「そうじゃ、K-100は人間の言葉が解るんじゃ」
「なあに?人間の言葉が?」
とつめよるノガワ先生。
「泣いたり、笑ったり、人間と同じように感情を持っとるとですよ」
そこで隆は北海道まで先が長いからとおみやげに鹿児島の漬け物を渡す。
しかし隆はここでノブちゃんから「紋太さんは先生に説得されて鹿児島に帰る事になった」と聞かされ大ショック!
「紋太さんの嘘つき!」と言われて何も言えない紋太。

そんなやりとりを見ていた先生が突然
「この少年をあの機関車で空港まで送って行けい!」

と2人を無理矢理をK-100まで引っ張って行く。
「紋太、わしはお前を誤解しとった・・・いつのまにか立派な大人になったの〜、行けい!北海道へ!
「先生!?」
「この少年の為にも、北海道で待っている老人の為にも」
そんな先生に「実は先生を騙して北海道へ行くつもりだった」と告白する紋太にノガワ先生は
「こいつ〜立派な薩摩隼人になりおったの〜」と一笑!

そして出発するK-100に
「隆くんを送ったらすぐこっちへ戻ってくるんじゃよ」
という嘉代に答えるように汽笛を鳴らすK-100。
「K-100が返事ばしました」とノブちゃんが言うも嘉代は「紋太は返事をせ〜ん」と泣き顔。

「スッポンはくらいついたら放さんというがよく放してくれたな〜」と、隆と先生に想いをはせる紋太
そして2人を乗せたK-100は夕陽に染まる土手の上を走っていく。
(つづく)


 今回のK-100はゲストの故・藤岡重慶氏!これにつきます。よっぱらったしゃべりといいもう目を閉じて声だけ聞いていると丹下段平そのまんま!クライマックスの舞台になってる土手が泪橋近辺に思えてしまいます。(初めて藤岡氏の素顔を見た時あまりに段平そのものなので顔で選ばれたんだろうかと思いました)

 嘉代役の石井さんと藤岡さんのカラミはもう安心して見ていられます。素晴らしい!
大村崑氏も修理工のドタバタ要員でこなれた芝居を見せてくれます。全体的にゲストの比重の重い盛りだくさんの娯楽作品でした。
しかし先生の言う事から察するに紋太さん、単に勉強ができなかったのか意外と悪だったのか?
それにつけてもノブちゃん、回を追うごとに体格が良くなっていって初回あたりとくらべると一回り大きくなったような気が・・・観光太りか?(失礼!)

 内容と関係ない所ではフィルムの発色が妙に良くなっていました。(ちょっと濃く感じるくらいに)しかし今回のエピソード、隆くんとはすれ違いで再会できなかったとばかり思っていました。まったく記憶はあてになりません・・・最後に見たのは20年前だからしょうがないんですけども。

 劇中節子と隆くんの再会した場所が特定できませんでした。印象的な彫刻の塔が立ってるので調べればすぐ解るかと思ったのですが意外と解りませんでした。おそらく中之島公園近辺だろうとは思うのですが・・・でも地元の方が見ればすぐ解ると思いますので「ここだよ」と言える方、情報をお願いします。

さて次回はK-100がお百度を踏む、階段登りお披露目編です。お楽しみに!

(2002.6/9up)


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