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「ほんとにきちゃった海賊船 −神奈川の巻−」


監督:枝川 弘
脚本:高橋 二三

主なゲスト
ミドリちゃん・・・天野美保子
ミドリちゃんのおじいさん・・・加藤嘉
ミドリちゃんの同級生・・・尾美利憲(現・尾美としのり)


さてK-100は神奈川県、箱根の芦ノ湖にいた。
箱根は観光地で人目に付きやすく、すぐお母さんに見つかってしまう、という節子の助言に従い紋太は白浜に行く事にする。

そして紋太は湖の桟橋の上で一人で湖を見ている少女(ミドリ)と出会う。
何をしているのかと声を掛ける紋太に、ミドリは鼻の下を人差し指でこすり、ここはうちの地所だと答えた。
ミドリの話によると、昔この辺りで両親が大きなホテルがあり、両親が死んだ後潰れてしまったと言う事だった。
ここでキャンプしてもいいかと訊ねる紋太に、キャンプどころか薪もいくらでも取って良い、この辺りは全部うちの土地だからと言って去っていった。

そこで紋太は森に入り、薪になりそうな枝を折っていると「ここは国有林だから勝手に枝なんか折っちゃいかん!」突然老人から注意されてしまう。
この土地の持ち主という女の子に許可をもらった、と聞かされて老人の顔色が変わった。
老人はミドリのおじいさんだったのだ。
紋太の聞かされた話のうち、両親が死んだという事以外は全部デタラメと言われて驚く紋太。
ミドリは両親をなくし、おじいさんと2人っきりの生活の中、家で一人でいる事が多く、だんだん空想の世界に遊ぶようになったという事だった。

K-100の所に戻るとK-100の陰からいきなり現れるノブちゃん!
すると近くにお袋が・・・と逃げようとする紋太だが、ノブちゃんから嘉代は鹿児島という事を聞き、金欠なので暫く腰を据えてバイトをする事にする。
そしてミドリちゃんのうちを訊ねて荷物を置かせてもらう事にする紋太。
丁度食事の支度をしていたミドリは紋太に「いつもはお料理専門のお手伝いさんが毎日来るの」とか「いつも5,6人分作るから食べてくれると助かる」だのと屈託無く話すのだった。

その頃節子は大湧谷(おおわくだに)で写真を撮っておりノブちゃんと合流していた。
バイト先の調理場で料理を作っていた紋太、ふと思いつき自分の作った料理を湖を見ているミドリの所まで持っていった。
しかし湖から目線をはずさないミドリに何を見ているのかと訊ねると
「あの海賊船が私を迎えにこの桟橋に横付けになる日を待っているの」
見ると芦ノ湖の遊覧船が目の前を横切っていく。

紋太は、あの海賊船は野尻(のじり)本箱根(もとはこね)箱根町(はこねまち)の3カ所のを行き来しているだけでコースをはずれたこの桟橋に来る訳がないと説明するが、
「紋太さんなんてきらい!いつか必ず来るのよ、この世の中で一番素敵な人があの海賊船できっとわたしを迎えに来てくれるのよ」
とミドリは紋太に背を向けてじっと海賊船を見つめている。その背中に声をかけようとするがおじいさんに止められて思いとどまる紋太だった。

次の日、ミドリは同級生の男の子にK-100の話をしていた。
しかしそんな話ははなっから信用してもらえない。「どうせ魔法の機関車で水の上でもスイスイ走るって言うんだろ」と言われ又鼻の下をこすり「そうよ、湖の上も走るのよ」と言い切るミドリ。紋太に頼んでみんなの前に来てもらう事にする。

いざミドリの所に行こうとした紋太だったが、そこに鹿児島から観光旅行の団体が到着して漬け物屋の木下さん(1話でケー100につける煙突をもらった人)とバッタリ再会!思わず呼び止められて話し込む。それによると今故郷で紋太は、
「いい歳をして稼業をほったらかしてあのミョウチクリンな機関車にうつつを抜かし取ると町中笑いのタネじゃ」
と言う事になってるので、お袋さんに代わって旅を妨害すると宣言されてしまう。

その頃ミドリと友達はK-100が来ないので嘘つき呼ばわりされていた。

「僕がいかないとみんなから嘘つきと思われとる気の毒な少女がますます嘘つきになるんじゃ!」と木下さんを振り切っていこうとするが振り切れず、一緒行って何をしているのか見届けると言う。
「いいかげんな事をしているようならK-100の煙突をはずして持って行く!」
「そんな〜煙突は機関車のシンボルじゃ。それを持って行かれたら格好がつかん!」

そして木下さんを乗せてK-100はミドリの所に到着。岩だらけの足場も物ともせず山道を登るK-100。調子に乗ってK-100はどこでも水の上も走れて釣りもできるというミドリ。

ミドリの言った事を実現するために湖にK-100を浮かべて釣りをする紋太。K-100が汽笛を鳴らすので、K-100にも釣り竿をつけてやるとK-100は勝手に釣り場を替える為に走り出した。慌てる紋太だがさっぱり魚は釣れないで変な物ばかりが釣れる。それに対し、ケー100はアタリが来ると釣り糸を巻いたハンドルを回転させて次々に魚を釣っていく。
そして紋太が変な物をつり上げるたびに「ヒョゥヒョゥヒョゥヒョゥヒョゥヒョゥヒョゥヒョゥヒョゥヒョゥ」と汽笛を断続的に鳴らして笑う(!)K-100だった。

そして大漁の魚と一緒に戻るK-100を見て子供達が「今までミドリちゃんは嘘ばかりついてたのに、今度は全部本当なんだね」と言っているが当のミドリはそれを見て熱を出して倒れてしまった!
どういうことかとみんなが心配する中おじいさんが、紋太さんが次々にミドリの嘘を本当にしたため空想と現実がゴッチャになって寝込んでしまったと言う。
その事でみんな紋太に責任は無いと言うが責任を感じてしまう紋太。その家の外では煙突をはずした木下さんの姿が。

翌朝、湖で一人考えている紋太は節子に願い事をして、もうふとんから出ていたミドリを白浜まで連れて来る。
そこには来るはずのない海賊船の姿が!
「海賊船が、とうとうあたしを迎えに来たのね!」
「そうじゃ、あの中に一番素敵な人がいるんじゃ」と紋太。
海賊船に走り込むミドリ、船内を探し回るが海賊船の中には誰もいなかった。
思わず「紋太さんの嘘つき!」と叫ぶミドリ。
「ごめんよ。だけどミドリちゃん、嘘をつかれた人の気持ちって分かったかい?嘘って人の気持ちを傷つけるんじゃよ。ごめんね、嘘をついたりして」
泣きながら「分かったわ」というミドリを抱きしめるおじいさん、紋太に頭を下げてミドリと船を下りていった。
すると物陰から煙突を持った木下さんが現れ煙突を紋太さんに返すと言う。
「おはんの旅の目的が、わいにもおぼろげながらわかりもうした。これはな鹿児島のヤマガ漬けじゃ。これをかじって故郷を忍びながら旅を続けるとよか」

そして旅立ちの時、節子は、
「紋太くんって底抜けにお人好しなのね。海賊船をミドリちゃんのいる白浜まで来てもらう為にアルバイトで稼いだお金、全部使っちゃったんだから。あきれたわ」
それを聞いたノブちゃんは
「そげん言う節子さんも紋太さんの計画を実現させてあげるように色々な所に声を掛けて、晴れてお人好しの片棒をかついだのじゃなか」
「あたしはただ、いい写真が撮りたかっただけよ」
そしてミドリちゃんと別れの挨拶をしているK-100と紋太をパチリ。

走っていくK-100に手を振るミドリ、それに答えて手を振る紋太の姿がシャッターを切る音と共にストッップモーションになって
(つづく)


今回のエピソードは私の地元、神奈川県です。昔再放送で見たときに箱根近辺しか出てこなかったのが不満だった記憶がありますが今回改めて見直してみますに前回に続いてなかなか良い話です。ちょっと第8話に似てるところもありますが以前も書きました通り孤独な少女とK-100というモチーフは良く出てきますので。

しかし今回の見所は釣りをして、汽笛をふるわせて笑うK-100です。ちょいと死にかけたバルタン星人みたいな声(?)ですが。
以外と青野監督の回よりも枝川監督の回のK-100の方が擬人化が激しい印象があります。
脚本も8話と同じ高橋二三氏だからでしょうか?

8話と言えば子役ゲストの内海和子さん共々今回の子役ゲストの天野美保子さんもレインボーマン(50話)にゲストで出ています。
この子はその他「イナズマンF」(20話?イナズマンから通しなら45話)や「ウルトラマンタロウ」(38話)「破れ傘刀舟悪人狩り」(43話)にも出演しているなかなかの売れっ子です。
なお今回ミドリちゃんの同級生(黄色いシャツの方)で出演している尾美利憲さんは子役時代の尾美としのりさんです。
(尾美さんの情報はもっくくんさん、関屋さんから頂きました。ありがとうございました)

おじいさん役の加藤嘉氏については言う事ないでしょう「砂の器」や「八甲田山」等で日本映画界を代表する役者さんです。

さて次回、東京編はケー100初の前後編で10話以来の隆くんも再登場します。お楽しみに!

(2002.7/14up)


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