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「サ、ニ、イ、大階段を登れ! −東京の巻−」


監督:青野 暉
脚本:田口 耕三

主なゲスト
クラタジュンイチ・・・なべおさみ
編集長・・・柳生博


朝からセミの声の響く河原にK-100は止まっていた。
土手を走っていた新聞配達の青年が「あれがK-100か」と脇で寝ていた紋太に朝刊を届けた。
その新聞を見た紋太はK-100に声をかける、そのK-100の中から起きあがってきたのは隆だ!
新聞には東京に入って隆と再会したK-100が写真入りで記事になっていた。
隆は夏休みの間だけでもK-100と旅を共にしたいと出てきていたのだ。

街を走っていると新聞のせいか差し入れをもらったりと結構ご満悦の紋太。
それを見て、北海道に行く事よりも有名にになる事の方が嬉しいんじゃないか、と心配になる隆。

団地の前を走っていると主婦の方々から「ここは一方通行」とか「汽笛がうるさいから」とか「煙が喘息の元だから早く出ていって」と言われ、街では工事中だの通行止めだのとちっとも前に進めずに公園で休憩をする事になった。
そこに声を掛けてくる宇宙アミューズメントセンターのクラタジュンイチ。
いわゆる興行師でK-100を使ったアクロバットショーの企画があるので、後は紋太のサインだけで契約成立だと言ってきた。
「僕らはK-100で儲けようなんて思ってないんじゃ」と断るがしつこく言い寄ってくる。
そうこう言ってるうちに警官がK-100を見とがめて紋太さんは警察に連れて行かれてしまった。

その頃節子は、編集部に今までのK-100の写真で写真集を出したいと編集長とやりあっていた。
写真集を出す事自体は問題ないが、会社の金で写真を撮ってるんだからその写真の権利は会社の物で、節子の名前で出すような写真集ではないと。そこで節子はこの出版社と袂を分かち、外に出るとそこでノブちゃんと遭遇。
「ケー100が粉々に分解されて元のスクラップに戻る嫌な夢を見たんじゃ」と訴えるが、節子はそんな話しを聞かずに行ってしまった。

一方警察ではクラタが警察官に新聞を見せて説得していた。
そしてクラタジュンイチが身元保証人になって責任を一任されてしまう。そこで出てきた紋太に、話はついたのでここにサインと拇印をという事で言われるままにサインと拇印を押す紋太。しかしそれは警察の書類ではなくてショーの契約書だったのだ!

ガソリンスタンドでK-100を洗って綺麗にしてショーの宣伝の為に街を走る事になるが、サインをしてしまったが為にどうする事もできなかった。
妙な飾りを付けられて商店街を走るK-100。愛想を振りまく紋太に対し隆は仏頂面。
「どげんしたんじゃ隆くん。スマイル忘れちゃいかんよ、スマイルじゃ
「こんな事までするなんてまるでチンドン屋じゃ!」
そんな2人を乗せてK-100は節子の脇を通り過ぎた。
節子はあちらこちらの出版社に写真集の話を持ちかけては断られていたが、K-100の姿を見つけて後を追う事にする。

遊園地に着いたK-100は、厳重な監視の元子供達から紐で仕切られていた。そんなK-100に違和感を感じている隆。
紋太に逃げようと持ちかけるが、そういう訳にもいかんと弱気な紋太。そこに節子がやって来て、クラタに自分を通さずK-100の話を進められては困ると抗議に行く事にしたが、契約書をタテに話しを聞いてもらえなかった。

そしていよいよK-100のショーが始まる。
まずは急な大階段を一気に登らされるK-100。
次は池の中を走らされるK-100。
そして子供達から一人300円の料金を取り、次々と子供達を乗せていくK-100。
それを見て愕然とする隆くん。
「紋太さん、なんでK-100がお金儲けの道具にされるんじゃ!」
これも契約のうちなんじゃ、と子供達を乗せて水上を走るK-100。
しかしそんな中、250円しか持っていない少年が追い返されるのを怒りの目で見ている隆だった。

すっかり疲れた紋太にクラタは最後のビックイベントをやるように言ってきた。
なんとK-100でウォーターシューターをさせようと言うのだ。
それはあまりにもと言うが契約書をタテにされて言い返せない。
思わずK-100に駆け寄り
「K-100、やってくれるか!」と頼む紋太。
それに汽笛を鳴らして答えるK-100。
「すまん」と乗り込み走り出すが、そこに隆が走ってきた!
「紋太さん、止めてくれ!こげな事、もう辞めてくれ!ケー100が可哀想じゃ!これ以上ケー100をいじめないでくれ!
涙ながらに訴える隆。
「隆くん」
「紋太さん」
K-100に飛び乗る隆!その姿がストップモーションになって
(つづく)


さて今回は初の前後編で隆くん登場という盛り沢山のイベント編です。
隆くんが夏休みで東京に、という事になってはいますが実際には北海道ロケが本当の夏休み期間中との事ですので逆算すると6月くらいの撮影でしょうか?

冒頭に出てきた河原はキカイダーがギンガメと戦い、静弦太郎がキャンプをし、ガルマが骨になったり、ゆうひが丘学園の通学路だったりと、この時代の特撮、TVドラマではおなじみの狛江(こまえ)の五本松です。地理的に生田撮影所、砧撮影所、日活撮影所、国際放映、東宝、円谷プロなんかと近いのでやたらとTVで見る所です。

クライマックスの遊園地はつい先頃(2002.3月一杯)約75年の歴史に幕を閉じて閉園になった向ヶ丘遊園です。
ケー100の登っていた階段は通称バラの大階段と呼ばれていた所です。
向ヶ丘遊園は円谷プロが近いのでウルトラマンショーやブースカランドが有名(?)閉園前の最後のロケも「ウルトラマンコスモス」でした。
そういう意味ではTBSとはなじみの遊園地です。

ちなみに狛江と向ヶ丘遊園は多摩川挟んだお隣さんですので事実上今回のK-100は10kmも移動していない事になり、地理的な事を言うとこの多摩川が東京都と神奈川県の県境ですので実は今回の話は実質東京・神奈川という事になります。(道路のシーンは世田谷区ロケだと思いますが)
まぁ、前回神奈川と言っても芦ノ湖しか出てこなかったのでトントンですかね。

K-100が走っていた商店街も文句を言われた団地も狛江だと思いますが狛江駅前もつい先頃綺麗になったばかりですし、向ヶ丘遊園もタッチの差で閉園です。丁度ケー100の再放送と時を同じくほとんどの所が様変わりしてしまいました。
いよいよもってケー100という番組の記録としての価値が再確認されるべきだと思います。

しかし今回はよ〜く見るとK-100はほとんど公道を走っていません。住宅街とか団地の私道とかそんな所ばかりです。
やはり30年前でも都心のロケは甘くなく、やはり地方ロケとは全然事情が違うんだなと忍ばれます。
紋太さんは広島の時もそうでしたが結構注目されるのは好きなようですね。「よっ、伊賀山紋太22才!」

ゲストのなべおさみさんはタケシ軍団のなべやかんさんのお父さんで最近はすっかり謹慎状態です。
一番新しいレギュラーは宝塚映像制作の「1・2・3と4・5・ロク」(1988〜90)のお父さん役でしたか?それでも10年以上前・・・
(余談ですがこの宝塚映像は1980年代、当時唯一特撮以外の子供向けドラマを制作していた会社で関東では早朝の放送であまり知名度はなかったのですが「赤いバッシュ」と「料理少年Kタロー」は傑作ですので再放送されたらぜひ見てみてください。阪神大震災で会社と倉庫が潰れてフィルムが消失と噂がありましたが「赤いシュート」もCSで放送されていたようですのでデマだったようです。本当に良かった)

柳生博さんは「100万円クイズハンター」の司会や往年の学園ドラマ(飛び出せ青春、われら青春等)での教頭先生の腰巾着が有名で、本当にあの柳生一族の血を引く方らしいです。初代峰不二子の声をしていらした二階堂有希子さんは柳生さんの奥さんです。

さて次回、K-100はクラタの手から逃れるために晴海の倉庫の屋上に登ります。はたしてどうなるのか!?お楽しみに!

(2002.7/21up)


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