第19話
「牛乳運んでピポピポピ −福島の巻−」
監督:枝川 弘
脚本:高橋 二三
主なゲスト
オオハラアンヌ・・・岩崎和子
紋太と隆を乗せたK-100は今、磐梯山(ばんだいさん)を登っていた。
その山中、紋太はオランダの民族衣装を着た女性(アンヌ)を見かけて、思わずその姿に見とれてしまう。
「オランダ人形のような娘さんがいたんじゃ」と隆に言うも「狐か狸にばかされたんじゃなか」と相手にされず目的地の花月ハイランドホテル(劇中のテロップはかげつハイランド)に到着する。今回はここで板前としてしばらくバイトにいそしむ事にしていたのだ。
その中出てきてたのはあの女性、アンヌだった!
実は彼女はこのホテルの従業員だったのだ、K-100を見てはしゃぐアンヌの姿に見とれている紋太だった。
調理場にいるとアンヌが「ご面会人よ」と呼びに来るがその態度のそっけなさにクビをかしげる紋太。
出てみるとそこにいたのは節子とノブちゃんだった。
節子はこんなしけたコックのアルバイトじゃなくてK-100で吾妻小富士(あずまこふじ)を登ればいいお金になるからと紋太を誘うが、そのしけたコック発言に怒る紋太。
「しけたコック姿でなくて、僕にとっちゃ晴れ着なんじゃ!」
そして山登りも断りついでに「それに僕はここが気に入っとるんじゃ」ともらしノブちゃんからつっこまれて赤面する紋太だった。
その夜、鹿児島へ手紙を書いてる隆くん相手に悶々とアンヌの態度が気になると言う紋太、隆から直接聞いたらと言われて考え込んでしまう。
次の朝、紋太がK-100の手入れをしているとアンヌが牧場から牛乳を受け取るため出てきたので思い切って話しかける。するとアンヌは節子とノブちゃんの事を紋太のガールフレンドと思っていた事が発覚。
「やっぱり隆くんの言うた通り、わからん事は聞いてみるもんじゃ」と大喜びの紋太。そして2人はK-100で牧場まで行く事にする。
そこでアンヌから紋太みたいなお兄さんが欲しかったと言われ、僕も妹が欲しかったと意気投合。
帰り道、お互い最初に見かけた所で野ウサギがいたとはしゃぐアンヌを見てうれしそうな紋太。
「アンヌさん、ウサギ好き?」
「大好き!」
そして夜、またしても隆相手にアンヌの事ばかり話す紋太。
そこで隆は「アンヌさんはお母さんかお父さんが外国の人じゃろうけどどちらがどこの国の人でなんでここで一人で働いてるんじゃろう」と聞くが紋太さんのそんな事はどうでもいいという態度にすこしムッとする。
そこにアンヌがやって来る、用件は紋太に通信教育の宿題を頼む為だった。数学と聞いて一瞬ひるむが引き受けてしまう紋太。
アンヌは隆が服を縫ってるのを見て「あたしがやってあげるわ」と言うが隆は「嫌です!自分の事は自分でやるとです」と背中を向けてしまう。
そんな態度にドキドキの紋太。アンヌは「宿題頼んだあたしがしかられたみたい」と声を出さずに紋太に「おねがい」と言って部屋を出ていった。
その直後慌てて隆に「失礼じゃなか」と詰め寄るが逆に言い負かされてしまう紋太だった。
次の朝、隆が郵便物を整理しているとアンヌ宛のエアメールがオランダから届いていた。それをアンヌに渡すと急にアンヌの表情が陰った。
そして今朝の牛乳運びを紋太に変わって欲しいと頼み、隆と紋太がK-100で行く事になった。
道々隆に「何か失礼な事を言ったんじゃないじゃろうな?」と問いつめる紋太。
ついでに宿題の事をなんか言ってたかも訪ねる紋太。未だにできてないが最後には支配人さんに聞いてみるつもりと言う、それを聞いてあきれる隆はふと視線の先に野ウサギを見つけた。
「ようし、捕まえてアンヌさんにプレゼントじゃ」
と捕まえようとするが紋太は指を噛まれてあっさりと逃げられてしまう。
ホテルに戻るとノブちゃんが節子に言われて様子を見に来たのにK-100も誰もいないから出発したんじゃないかと探してたと駆けてきた。
そこでウサギに噛まれた話をしているとそれを聞いていたアンヌが
「野ウサギの中にはたちの悪い伝染病を持っているのもいるので急いで病院にいかなくちゃ」
と慌ててみんなで病院へ!
傷の件も一段落し、つばくろ谷の不動沢橋の袂でアンヌと紋太は話していた。
そこで明日にも旅立つ予定と聞いたアンヌに強行に出発を反対される紋太はそれにまけて、明日1日K-100でドライブする事になった。
「さすがのK-100も吾妻小富士は登れないでしょうけど小富士が一番綺麗に見える山に案内する」
という事で明日の10時にこの橋の上で待ち合わせてる事にする。
ホテルに帰ると紋太さんに鹿児島のお父さんから電話が入っていた。野ウサギの件でノブちゃんが連絡したらしい。
久しぶりにお父さんと話す紋太さん。電話を切り隆くんに「親父は僕を応援してくれとる!」と楽しそうに話す紋太さんを見ているアンヌの表情は複雑だった。
その夜紋太は、「なんで明日出発しないのか」と隆に問いつめられる。同じ頃アンヌも自分の部屋で手紙を読んでいた。
そして次の日、紋太はニコニコしながら待ち合わせの不動沢橋にやってきたが、そこに来たのはアンヌではなくて節子だった。
隆から聞きつけて吾妻小富士を登るK-100を写真に撮る為にやって来たのだ。でもアンヌとのデートを邪魔するつもりはないという節子。だがそこに車でやって来たのは隆とノブちゃんだった。
アンヌさんは東京に行ったので手紙とオランダ人形を預かって来たという。
「紋太さん、約束を破ってごめんなさい。あたしはオランダに行きます。日本人の母と、オランダ人の父との間に生まれた私は、事情があって日本で母に育てられました。しかし母は二年前に亡くなり、現在私はみなしごです。オランダの父は、それを心配して私を引き取ると言います。でも、父の顔も知らない私はオランダに行っても幸せになれるかどうか不安で、今までためらっていました。そんな時、あたしが心の中で思い描いていた紋太兄さんに出会ったのです。そして昨日、紋太兄さんについて北海道へ行く決心をしたんです。それが、ホテルでお父様と電話でお話している、紋太さんの嬉しそうなお顔を見ているうちに、あたしの決心も変わりました。あたしはまだ、あたしの父を知りません。でも、きっと紋太さんのお父様と同じように、いい父だと思うようになりました。アンヌは父の国、オランダに行きます。紋太さんや隆くんと過ごした日本での最後の夏を、あたしは生涯忘れないでしょう。紋太兄さん、約束を破ってごめんなさい。でも、せっかく決めたアンヌの心が、紋太さんに会うと又、崩れるような気がして・・・このオランダ人形、アンヌと思って可愛がってくださいね。紋太さん・・・紋太兄さん、さようなら」
読み終わった紋太はK-100に頼む。
「K-100、アンヌさんの登りたがっていた、吾妻小富士のよ〜っく見える山に、連れてってくれ!」
それに答えて勢いよく汽笛を鳴らすK-100!
磐梯吾妻スカイラインを走りK-100は吾妻小富士のふもとへ。
K-100かなり険しい山道をどんどん登り、運転席にぶらさげたオランダ人形に紋太は問いかける。
「アンヌさん、K-100がひとりでに登ってきよったとです。アンヌさんの来たがっていた、吾妻小富士のいちば〜んよく見える山に、間違いなかとですか?」
それに答えるようにK-100も汽笛を鳴らし登っていく、そしてついにK-100と紋太さんの目の前には吾妻小富士の姿のよく見える所に止まっていた。
しかし紋太さんは何も言わずにただ山を見つめていた。
(つづく)
今回は今までありそうでなかったエピソード、紋太さん失恋の巻!です。
話としては女の子に振り回される紋太と言った所ですが、なんか気恥ずかしくなってしまいホロっとするラストシーンは何か忘れていた物を思い出させてくれていいですね〜。しかし何も隆に女性問題を相談しなくても・・・隆くんの方が大人だぞ紋太さん!
今回も手紙の朗読のバックに「いいじゃないか」のカラオケが流れていい味出していましたが、劇中でボーカルが流れた事は無かったのか記憶があてにならなくなってきました。
ゲストの岩崎和子さんは「帰ってきたウルトラマン」(71年・TBS)の榊原ルミさん演じる坂田アキが亡くなった後のヒロイン(村野ルミ子)として第4クールのレギュラーになった方です。坂田アキの人気が高かった為、帰りマンファン(郷秀樹ファン?)の間ではあまり評判のよろしくない方でした。(あくまで役柄がですよ)
花月ハイランドホテルは今で営業しているホテルです。牧場は猪苗代近辺かと思います、高原のシーンは那須か朝日国立公園あたりだと思います。
久しぶりに節子の毒舌が聞けたような気がします、やはり節子のキャラはこうでないと。
しかし隆くんも出ずっぱりですね。このまんま夏休み期間中は出演し続けるのでしょうか?
さて次回は宮城県、本州もいよいよ後わずかになってきました。お楽しみに!
(2002.8/11up)
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