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「 機関車ゆうかい大事件! −弘前の巻−」


監督:青野 暉
脚本:田口 耕三

主なゲスト
イチロウ(おじさん)・・・田島 義文


青森県に入ったK-100は、岩木山(いわきさん)の見える稲穂の茂る田んぼの前を走っていた。
りんご畑の横でK-100を止めて現在位置を確認する紋太。道を間違ったらしいとK-1000に問いかけるがK-100は答えない。どうしたのかと前に回ると、K-100の正面に付いているヘッドライトにりんごにかぶせる袋が被さっていた。
それをはずしながら「それでが見えなかったんか」と話しかけると、K-100はいつものように汽笛を鳴らして応えた。

そこに「トラックがエンコしたので手を貸してほしい」とおじさん(イチロウ)から声をかけられる。
紋太は心よく引き受けた物の、どうにもエンジンがかからない。このままだとをりんごの品評会に遅れて、やっとの思いでつくりあげた「宇宙一」というりんご出品できないと言う事で、このままK-100で牽引していく事になった。

会場の、津軽藩士の菩提寺として有名な長勝寺(ちょうしょうじ)にトラックを牽引して、威勢良く走り抜けていくK-100!
しかしそれを見て歯がみをしている青年(ヒデノリ)がいた。急ぎもう一人の青年(フジオ)の待ってる所へ駆けつけるヒデノリ。
実は車の故障はこの2人のしくんだ事だったのだ!

会場に着いたが、イチロウは食事抜きなのでフラフラすると言う。そこで紋太がK-100の釜を開け、なんと中からいい具合に焼けたサツマイモを取り出し御馳走する。張り切り会場に戻るイチロウだったが、それを陰から見ていたヒデノリは「なめやがって!」と紋太を連れだし殴ろうとするが、そこに突然パトカーのサイレンが!慌てて逃げる2人。
しかしそのサイレンはK-100のモノマネだった!

結局ヒデノリの家のりんごは落選し、イチロウの「宇宙一」が特賞という事になった。
実はフジオとヒデノリは、こんな片田舎でくすぶってるより海外に行き一発当てようと、ヒデノリの家のりんごを入賞させる為に自分の家の車に細工をして「宇宙一」を品評会に遅れさせるつもりだったのだ。これが成功した時にはヒデノリの親父から旅費をせしめるつもりだったのだ。
フジオは、父が小さい頃から自分よりりんごばかり優先するので、鼻をあかすつもりでなんでもするつもりだった。

さてイチロウはK-100に牽引されて、自分のりんご園に帰って来た。
そこで紋太は、車の修理が終わるまではこのK-100でりんごを市場まで運ぶ事を申し出る。それを聞き感激するイチロウ。思わず口をついて出た言葉が
「あんたの爪の垢を煎じて、あいつに飲ませてやりてぇよ!」

それを聞きあいつは?と紋太も聞くが「腐りかけのりんんごだよ」としか答えてもらえなかった。

その頃ノブちゃんは弘前城で節子に絵ハガキを書いていた。
そこに通りかかったヒデノリとフジオ。ヒデノリはノブちゃんの顔を覗き込み
「後ろ姿はいかしてたのに前回ったらガッカリだ」
そう言われて憤慨するノブちゃんだった。

さて紋太はイチロウのりんご園を手伝いながら、なんとなく新しい品種を作るにはどうしたらいいかと訪ねるが、イチロウはこれは極秘中の極秘だから教えられないと言う。その頃フジオは自分のうちに忍び込みその極秘が記されてるノートを持ち出そうとしていた。
しかし異変に気付いたK-100が汽笛を鳴らし、みんなが家に戻ってきたのでフジオは何も盗らずに逃げるしかなかった。
荒らされた部屋を見て、イチロウは壁にかけてある額の裏からノートを取りだし無事なのを確認。紋太に礼を言いながら、なにげにK-100のライトに帽子を被せるのを慌ててはずす紋太。
「急所なんじゃ。ここがいかれると、K-100は並の機関車になってしまうんじゃ」

それを陰から聞いていたフジオは、K-100に汽笛を鳴らされ慌てて逃げ出した。これで用心深い父はノートの場所を変えてしまうだろうからと別の作戦をたてる事になった。すると弘前城をりんごを引っ張り、走り抜けるK-100の姿が目に付いた。
市場にりんごを届けに来たた紋太がK-100から離れたスキに、フジオとヒデノリがK-100のライトを隠し、まんまとK-100100を持ち去ってしまった!

K-100が真っ昼間から誘拐された、と警察に行こうとする紋太をなぜか乗り気でなくとどめるイチロウ。そこにK-100を返して欲しくばりんごノートをよこせと電話が入った!1時間以内に最勝院五重塔 (さいしょういんごじゅうのとう)の下に埋めておかないとK-100をバラバラにすると言う。

それを聞き、駐在所に行くと言う紋太を止めるイチロウ。残り時間は30分!イチロウはノートを持って行くと言い出しそれを止める紋太、
「なんで警察に通報してはいかんのじゃ」そしてイチロウは渋々語り始めた。
息子のフジオが、母を亡くしてからりんごの世話ばかりしている自分に腹を立ててグレてしまい、悪い友達と付き合ってるようなので今回の犯人はきっとフジオに違いないと。しかしノートを渡すとフジオの為にならないので自分にまかせて欲しい、と頼む紋太だった。

時間が来たがイチロウは来ない。そしてフジオは
「やはり俺よりノートの方が・・・ちくしょう!あんな機関車売り飛ばしてやる!」

しかしすぐ売り飛ばすとすぐ足が付くので、しばらくヒデノリのうちのりんご園を広げるのにコキ使って親父から旅費を巻き上げようという話しになる。
2人がいなくなった後に最勝院五重塔にやって来た紋太は、そこで観光ガイドを手に見物していたノブちゃんとバッタリ再会。
そこでノブちゃんに「捜し物する時は占いで見てもらうのが一番よかと」と、占いに行く事になるが、紋太はノブちゃんを一喝。
「占いなんか信じんと僕の思うように捜す!」

その頃、フジオとヒデノリはK-100を使って裏山を開墾していた。ライトに袋を被せられ泥まみれのK-100を鞭で叩き、大きな岩を引っ張らせるフジオ。
なぜかその近くにノブちゃんと一緒に来た紋太。
占いで言われた北西はあっちじゃと言うノブちゃんに「僕の勘じゃあっちがくさい」と進みM一仕事終えて一服しているフジオとヒデノリを発見。飛びかかるが2対1で不利!それを見かねたノブちゃんがK-100に助けを求めるもK-100目隠しされてピクリとも動かない。どうしたのかと前に回ったノブちゃんが、ライトにかぶっている袋を取った途端汽笛一発、いつものK-100に戻った!

すかさず乱闘に乱入しフジオを執拗に追い回しあわや引きそうになる寸前に止まるK-100。
「かんべんしてくれ!俺が悪かった!」
そこに紋太が駆けつけ、
「君らがあんまりK-100をいじめるからK-100が怒ったんじゃ」
一段落して「親父は俺よりりんごが大切なんだ」とすねているフジオに紋太は言う。
「ノートを持っていこうとしたのを止めたのは僕じゃ、親父さんは君を誘拐犯人にしたくなかったから命より大事なノートを渡そうとしたのに、君よりりんごの方が大事だとまだ思っとるのか」

その後、イチロウのりんご園で働くフジオの姿があった。
その姿を満足気に見守る紋太に「いままでりんごの事ばっかでフジオをかまってやらなかったのがいけなかったんですな」声をかけるイチロウ。
「一人息子っちゅうもんは寂しがり屋とです。僕も一人息子じゃから、フジオ君の気持ち、よう解るとです」
それじゃ、とK-100に乗り込み出発する紋太。りんご畑を走り、フジオに声をかけるとフジオがりんごを一つもいで紋太に投げてよこす。
それを受け取ろうとする紋太の姿がストップモーションになって
(つづく)


今回は初めてK-100の弱点(?)であるヘッドライトの秘密が公開されました。(あそこは目でよかったのか?!)
内容的にはK-100のキャラの確立に重点がおかれたような話でした。

やはり全体的に雰囲気が少々停滞しているような印象があります。これもやはり節子がいなくなったためでしょうか?と言うのは冗談としても、レギュラーの扱い等、作り手が今後どの方向で行こうかと探っているような印象です。それは特にノブちゃんのキャラがいい例だと思います。おかみさんと一緒でない以上紋太はノブちゃんから逃げる理由も無い訳ですから。

やはり前半の方が目的がはっきりしていましたし、紋太自身も今までおかみさんから逃げる為、節子に頼まれたから等、周りの思惑で自分の行動が決まっていた所がありますからね。

これで北海道から旅立った時の決意のように、毎回子供を集めてお披露目をするとか、沖縄まで後どのくらいとかのパターン描写があれば又印象が違うと思うのですが、ドラマ的にも妙に飛躍が多く煩雑な印象を受けてしまう。そういう意味でも残念ですが今回はあまりいいデキの回とは言えませんね。

これはやはり「おじいさんに会う」という山場を越えてしまった為、無意識にそれ以上の完成度を求めてしまている為だと思いますけども。

それにつけてもゲストの田島義文氏は貫禄ですね。さすがベテランという感じです。田島氏は昭和30年代、東宝映画を中心に活躍されていた方でその後テレビでも活躍されていました。怪獣映画に多数出演したいた為かTVでも「ウルトラQ」の毎日新報デスク役が印象に残る所です。

なんとなく今回は文章が否定的でしたが次回はケー100初めての県、秋田県です。お楽しみに!

(2002.10/19up)


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