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「機関車は薩摩隼人でごわす −鹿児島の巻−」


監督:枝川 弘
脚本:高橋 二三

主なゲスト
木下さん(漬け物屋の若旦那)・・・高原 駿雄
隆の父・・・ハナ肇
嘉代・・・石井 富子
ノブちゃん・・・秋元 京子
末長 隆・・・長田 伸二


「今から丁度一年前、九州の南の果て、鹿児島の僕の家に、まるでクズ鉄のようになった小さな機関車を発見した。それを紋太さんと僕が、なんとか動かせるようにしようとして、やっとの思いで漬け物工場の煙突を手に入れたり、さんざん苦労してケー100を完成させた。それから丁度一年後・・・」
という隆君の語りが噴煙上がる桜島の映像と1話のダイジェストにかぶり、舞台は現在の末長鉄工所に。

今、隆の父が書類と引き替えに札束を受け取っていた。実は隆の父は友人の借金の保証人になっていたが、友人が返済できなかった為に、その借金を肩代わりする事となり家と工場を処分してしまった。今受け取ったお金はまさにその返済分の残り(25万円)なのである。

その事実を学校から帰ってきた隆は父から告げられてショックを受ける。
「そんな、人の為にそんな?!」しかしその言葉にお父さんが一喝!
「隆、わしらは薩摩隼人じゃ。困ってる友達を助けるのは男として当然の事じゃなか!
そこに電話が入りK-100凱旋を告げられて喜び早速K-100の元に駆けつける事に。

しかしそのK-100は絆創膏、包帯だらけの上煙突まで傾いてしまっている。ボロボロの瀕死の重傷で久しぶりに隆を見ても汽笛も鳴らせないという有様に駆けつけた隆も愕然!

すでに駆けつけていた嘉代とノブちゃんが連れてきた修理屋に聞いてみると、約30万円程修理代がかかるらしい。実は実家の料亭も改装したばかりでお金が無いという。するとカンパと言って見物の子供達が100円とかケー100に渡し始めてしまい困惑して慌てて断る紋太。

それを見ていた隆の父は懐にあったなけなしの25万円を渡してしまいついに一文無しに。
そんなK-100を囲む人の中に何やら企む石橋の姿もあった。

後日、修理の済んだK-100の試運転に同乗させて貰う隆。しかし隆はK-100と一緒に沖縄に渡るつもりでいたのだが、父の仕事の都合で明日にも東京に行かねばならないと言う。それを聞いた隆は別れを告げるつもりで試運転に立ち会ったのだ。

石橋(ちょっと特定できませんでした)を渡り、サンロイヤルホテルの脇を抜け川沿いを走るK-100。修理屋が部品を調達に降りた間にお守りを渡し、別れを言うが悲しげに汽笛を鳴らしてダダをこねるK-100。
「お前も薩摩隼人ならそんな声で泣くな!」とK-100を降りて歩いていく隆。その後ろからそろそろと付いていくK-100。隙を見て走り出すがK-100もスピードをあげて追いかける。そして隆に追いついたK-100はピィピィ汽笛を鳴らしていた。

そして次の日、サンロイヤルホテル「ケー100沖縄訪問歓送会」(画面上幕の文字がケ100!)が催された。
会場に来ている人に悟られない為荷物をK-100に預けて会場に入る隆とお父さん。エレベーターが開いた所で一人の人とぶつかり、その脇では嘉代が知り合いの遊園地にK-100を金はいくらでも出すから売って欲しいという電話を受けていたが笑い飛ばしていた。

その会場で隆の父は、出されているサンドイッチを紙に包んでポケットに入れていた。それを見て驚く隆。しかし金がないので東京まで行くまでの弁当にするからお前も入れろ、「盗むんじゃない、自分の分を後で食べるだけだ」と言われて、隆も同じ事をする。

一方、ボーイに扮した石橋が飲み物に薬を入れて紋太に飲ませ、眠った所でK-100を持ち逃げしようとしていたが、突然「スリだ!泥棒だ!」という声に驚きこぼしてしまう。

叫びながら会場に入ってきたその男は、隆の父がエレベーターから降りた時にぶつかった男だ!ズカズカと「スリだ!」と隆の父に食ってかかる男。誤解だと言うが信じてもらえずポケットの中身を出す事に。
しかしポケットにはサンドイッチが入っているので出す訳にはいかない。しかしそうしているとどうしょうもなく濡れ衣が晴れないのでついに隆が自分のポケットからサンドイッチを取り出した!そしてついに破産して夜逃げをする事を告白する事に。

漬け物屋の若旦那から詳しく話してくれと言われ、借金の事、東京に行く為に弁当代わりにしようとした事など話す隆の父。
しかし友達を助ける為だったので後悔はしていないと言う。それを聞いた嘉代は末長さんの為に先程の電話の相手にK-100を売るわけにはいかないか?と持ちかける。

しかし、沖縄の子供達の為にそれはいかんと反対して出ていこうとする隆の父。それを引き留めた紋太。
「沖縄に行かせるべきか、隆君のうちの為に売るべきか、K-100自身に選ばせるんじゃ!」

そしてK-100の前に隆の荷物と沖縄の子供達のハガキの束を置いて、どちらか選んだ方に動けとせまる紋太。しかしK-100はどちらも選ぶ事ができずに動けず、悲しげな汽笛を慣らすばかり。

それを見て隆の父は
「K-100はうちの鉄クズの中から誕生したんです。この決定は私にさせていただきます。K-100は沖縄に行くべきです」
そして荷物を持っていこうとするのを止める木下さん。

「末長どん。おはんはK-100が自分一人の物のような言い方をしとるがそれは少しおかしか。あの煙突はおいの工場の煙突だった事を忘れてもらっちゃ困るがよ、煙突の分くらいおいにも発言する権利がある」

と、末長の工場と家を買い戻すお金を立て替えるので早速その準備をしてくれと言い出した。断る隆の父だったが
「おはんは友達を救う為に裸一貫になったじゃなか。だったら別の友達がおはんを救うのになんの不思議があるんじゃ」
あれこれ言ってはみたがお互い薩摩隼人じゃと言われては隆の父もありがたく受けるしかなかった。

さて一件落着してK-100はフェリーで沖縄に行く事になっていたが出航時間が遅れるという嘘の電話を真に受けた為K-100だけ積んで紋太さんは乗り遅れてしまった。

急ぎ今し方出航したばかりのフェリーを見るとその船上からは石橋が投げキッス!
「あのペテン師め、やりおったな!」
地団駄を踏む紋太の姿がストップモーションになって
(つづく)


さて、K-100は旅立ちの地、鹿児島に帰ってきました。

今回は1話から観ていた方にはたまらない懐かしい人達のオンパレード!
しかし前回、あんなボロボロで凱旋とは、と書きましたが今回の伏線になっていたんですね。いや〜感服。

今回のエピソードはハナ肇がサンドイッチをポケットに入れるシーンを強烈に覚えていて、ポケットの中身を出せというシーンで観ていられなくなった為に、その後の展開をあまり覚えていなかったのですが、内容的には懐かしのキャラクター総出演のお祭り的なエピソードで加えてメインライターの高橋二三氏らしい『無償の行為』という事が強調された、いろんな意味で一区切りなエピソードです。(節子と紋太さんのお父さん、木下さんの出演がかなっていないのが惜しまれます)

久しぶりに登場のノブちゃんはなんか化粧が派手なせいかちょっと別人のようですね。
最初よく似た別人かと思ってしまいました。

メインゲストの高原 駿雄氏ですが、文学座の一員として舞台、映画、TVとバイプレイヤーとして活躍、2000年2月26日に享年76才でお亡くなりになっています。

今回K-100の試運転で走った石橋が当初「玉江橋」と思ったのですが、どうも違うらしいので調べていましたがUPまでではどこだか特定出来ませんでした。どなたかご存じの方一報お願いします。

さて、次回からは沖縄のK-100ファンの方お待ちかねの沖縄編です。
残す所後3話、もう目が離せません。お見逃しの無い様お楽しみに!


(2003.3/29up)


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