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「助けて!紋太さんの幽霊だ−沖縄の巻−」


監督:枝川 弘
脚本:高橋 二三

主なゲスト
キンジョウテツオ・・・紺野 秀樹
テツオのお姉さん・・・竹下 景子
沖縄のおばあさん・・・平良 トミ
先生・・・平 凡太郎


鹿児島の桟橋からK-100を載せたフェリーに置いて行かれてしまった紋太!その船上からは石橋が投げキッス!
「くっそ〜!K-100に乗って海を渡って沖縄に行こうと思ってたのに・・・憎きペテン師め!」
と言うやいなや海に飛び込む紋太!

その頃、船上では石橋がK-100を使っていくら儲ける事ができるか電卓叩いて皮算用。(K-100のライトには勿論袋が被せられている)

「とりあえず沖縄の子供達相手に見物料が一人50円。K-100に乗せる時は一人200円として、朝の9時から夕方5時まで8時間稼働するとして、1日、35,000円は堅い。という事は月収およそ100万円か〜!ア〜ッハハ。こりゃ〜笑いが止まらない、でっかい儲けだ!」

そんな石橋に「月収100万円で満足してるようでは君も大物になれんな〜」話しかけてくる、5万円もするライターを使い捨てにする自称”沖縄の開発に一生を捧げている”と言う男。
目の前で古い物を何回も使うのは嫌いだと、1個5万円のライターを次々と海に捨てるその男(以後石橋が先生と呼ぶので先生と表記)にとてつもないスケールの大きさを感じる石橋だった。

さて石橋と先生は沖縄に到着。早速K-100に群がってくる子供達にK-100人気を再確認してニコニコの石橋と先生。
するとそこに北海道まで手紙を持ってきたキンジョウテツオ君(26話参照)とそのお姉さんが現れ、石橋に話がある自宅まで連れて行った。

テツオの実家は「天龍蔵」という泡盛の醸造所で、紋太の父とは仕事柄昔からのなじみで、テツオが手紙を持って夕張までいく事になったという事だ。その立派な家に金儲けできそうだとほくそ笑む石橋だったが、ここで紋太がフェリーを追って海に飛び込んでおぼれ死んでしまったと告げられる。

それには流石の石橋も愕然!
キンジョウ姉弟と石橋は辺戸岬から海に花を投げ入れた後、糸満市(いとまんし)門中(もんちゅう)の墓という所に連れて行く。ずいぶん立派な墓だと感心する石橋にここはうちだけの墓でなく親戚(親戚の事を門中と言う)全員のお墓で、門中はお墓を一つにするだけでなくいつも協力し、助け合う物だと言う。
そして紋太も門中ではないが親戚同然なので、ここにお参りしたのだと言われてふと見ると死に装束に三角頭巾といういかにも幽霊な紋太がおいでおいでをしているのが見えておびえる石橋。
そんな石橋に気づかれないよう紋太の方を目配せして「紋太さんなんか見えない」と言うキンジョウ姉弟。

さてその晩、先生と同室の石橋はラジオから聞こえる聞き慣れない沖縄言葉の放送を聞いていたが突然「K-100を頼むぞ・・・」と紋太の声が聞こえてきた。それとほぼ同時にK-100の汽笛が聞こえ行ってみると、K-100の中からまたしても死に装束の紋太が現れ、石橋と先生は2人して抱き合ってふるえるばかり。

翌朝、石橋のホテルにキンジョウ姉弟が門中を連れてくる。先生とはK-100の買い手の所で落ち合うことにして適当にあしらうつもりだった石橋だったが、紋太と約束していたからと中城(なかぐすく)城跡に連れてこられて待っていた門中のおばぁさんを乗せて公園を一回りする事になる。
沖縄言葉で話しかけられてもさっぱり解らない石橋は適当な生返事。さて一回りしてやっと開放かと思いきや、まだまだ門中のおばぁさん達は待っていた。

そして首里(しゅり)にやって来たK-100はテツオの姉の案内で金城町(きんじょうちょう)の石畳道を走っていると頭に物を乗せて運ぶ(カミーン)女性達とすれ違うがその中の一人がどう見ても紋太!K-100は守礼之門(しゅれいのもん)を抜けて染織中の布を横目に走っていると、突然バケツを持った子供達がやって来てK-100を洗ってくれた。そんな子供達を石橋は「さすが守礼の国の子供達だ」と誉ちぎりK-100は「玉泉洞」にやって来た。

その駐車場に現れる先生。ここの社長がいつでもK-100を買うというので話を付けていたのだ。朝は売り渋っていた石橋だが沖縄の子供達と紋太の幽霊に辟易していたので条件次第でとっと売ると言うので先生は又交渉へ、その間石橋は洞窟見物。

キンジョウ姉弟と共に洞窟通って出てきた石橋はK-100売買の交渉成立と先生に聞き「ガッポリ札束抱えて沖縄でゆっくりレジャーでも楽しんでいきましょうか」と喜んでいると、突然無人のK-100の汽笛と共に襲ってきた。
「誰がライトのカバーを取ったんだよ!」
K-100に追い立てられた石橋は這々の体で逃げ回り風葬の谷(玉泉洞、風葬のあと)へ。

一息ついた石橋だが、ここはあたりには骸骨がゴロゴロ。なんでも昔死体を野ざらしにした風葬の後だと言う。その雰囲気におびえているとそこに紋太の声が聞こえてくる。追ってきたキンジョウ姉弟に紋太の声が聞こえると言うが相手にされない。そこに紋太のダメ押しの一声!
「石橋正彦、地獄へ行け!」

その声に思わず逃げ出す石橋だが目の前をK-100に塞がれて思わずへたり込んでしまう。
するとK-100から拡声器を持って降りてくる紋太。K-100に背を向けてかがみ込んでる石橋は紋太に気付かない。
「K-100をどうするつもりだった」と言う紋太の声に、売り飛ばすつもりだったと答える石橋。それを聞いて「ついに尻尾を出したか」と詰め寄る紋太。

幽霊でなく本物の紋太だと気付いた石橋は呆然。
実は紋太は、鹿児島から飛行機で一足早く沖縄に着いていたのだ。早速K-100を盗んだ石橋を警察に突き出すつもりだったが、何をするつもりか突き止めてからにしようとキンジョウ姉弟と協力して一芝居うったのだった。
それを聞いて地面を転がり廻って叫ぶ石橋
「ひどい、ひどいよ〜!ペテン師を騙すなんて、そりゃないよ〜!」
「だまれ!」と一喝して紋太は続ける。
「この近くに、手紙をよこしてK-100を待っている子供達がおるんじゃ。君がK-100を売り飛ばしたら、その子供達がどうなるか・・・さぁ、一緒に来て見てみるといいんじゃ!」

みんなで砂糖黍畑にやって来て一人の子供を前にして石橋に話す紋太。その後ろでは数人の子供達がK-100に刈った砂糖黍を積んでいる。
石橋の目の前の少年が紋太に手紙をくれていたのだが、水牛が死んで牛車で荷物を運べないとの事でK-100で運んであげると返事の手紙を出して置いたのに、石橋のせいですぐに来れなかったのでそれまでみんなで手分けして運んでいたと言う。

それを聞いた石橋は「みんな門中なんでしょ、親戚なんでしょ。だからああやって助け合ってる。解ってます、解ってます」
とうそぶき、それを聞いた紋太が激怒。
「違う!門中じゃなか、親戚じゃなか!赤の他人が友達の為に尽くしておるんじゃ!」

そして砂糖黍と子供達を乗せて走るK-100の後ろから牛車に縛り付けられてよろよろと牛車を引いている石橋がいた。
紋太に「お〜い牛の身代わりになった気分はどうじゃ?」と聞かれ
「もう〜、もう悪い事はしません、モ〜」と死にそうに答える石橋。それを聞いて満足気な紋太。
K-100と牛車を引く石橋がすすきの原を走って行く、その風景にK-100の汽笛が響いて
(つづく)


ついにK-100は1年間続いてきた旅の最終目的地、沖縄に上陸しました!(石橋の手で)
今回は「紋太さんが死んだ!?」というショキングなニュースを中心に、沖縄の歴史や観光的な面もふんだんに取り込んだ、30分という放映時間には少し詰め込み過ぎなくらいのサービス精神旺盛過ぎる純粋な娯楽編です。

内容が内容ですので、本来主役である紋太はまったく活躍しませんが石橋が飛ばしてくれます。
聞き慣れない沖縄言葉に対するリアクション等いちいち楽しく全編かけずり回ってます。
ただ船上で会った「先生」が最後に実は石橋を騙そうとしてたとか、紋太とグルだったとかいう展開になるのかと思っていましたが最後までいてもいなくてもいいようなキャラだったのが残念です。しかしそんな事も今回の作品にはマイナスになりません。というか気にする暇もなく話は進んでいきます。

沖縄返還とか当時の世界情勢なんかは興味のある方各自で調べていただくとして、今回のポイントはとにかく初々しい竹下景子さん!ちょっと沖縄人でない顔立ちですがそんな事はどうでもよくとにかく可愛いいですね。

26話に出てきたキンジョウ君のお姉さんとして出てくるとは……ちなみに実家として出てきた「天龍蔵」瑞穂酒造という所の蔵のようですね。

NHK朝の連続テレビ小説「ちゅらさん」のおばぁ役で一躍ブレイクした平良 トミさんが30年前にK-100に乗っていたとは衝撃映像でした。

さて1974年当時は沖縄返還からわずか1年半後くらいで、沖縄の映像というだけでも珍しい時代ですから今回の映像は当時は本土の人、今となっては沖縄の人に宝物ですね。港が軍用車両だらけだったのはやはりベトナム戦争の影響か?なんてなんか納得していました。

さて、次回からいよいよケー100は最終章に入ります。残すところ後2本、お見逃し無く!


(2003.4/4up)


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