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「 霧の中の遭難…・・ −富山の巻−」


監督:中野 恵之
脚本:高橋 二三

主なゲスト

リョウイチ・・・松原 和仁
リョウイチの母・・・福田 公子


K-100は今、霧の濃い岩肌を、富山県の手紙をくれた少年(リョウイチ)を乗せて立山に向けて走っていた。
磁石も紛失してしまいK-100を降りてた紋太を追いかけて「離れちゃやだよ〜」というリョウイチに「本当に弱虫じゃな」と言う紋太。
この霧の中、磁石もなしに立山には行けないと言うリョウイチだが紋太は自信満々、K-100も景気良く汽笛を鳴らして応えるがどうやら同じ所をグルグル回っているらしい。なお心配するリョウイチに紋太は
「こんな山で遭難なんかするもんか」
しかしそうこう言っているうちにあたりは真っ白になって身動きできなくなってしまった。

そもそもの事の起こりはK-100が富山城に着いた時の事だった……
富山城前の公園で子供達を集めてお披露目の最中、少し離れた所にリョウイチとお母さんがいた。リョウイチはK-100に手紙を書いたが、内気で出す事ができなかったのでお母さんに間に入って欲しいと頼んでいたのだ。そこに偶然通りかかったノブちゃん。お母さんから「夜中に一人でおしっこにも行けない」と聞かされて「弱虫ッ子か〜」と言う事で、ノブちゃんが口を聞いてK-100に乗れることになった。

そしてK-100に乗ってる途中で紋太が一緒に立山に登ろうと言い出した。鹿児島にいる嘉代の為にお札をもらってこなくてはいけないのでついでにリョウイチを鍛えようという作戦だった。心配するリョウイチに紋太は言った。

「日本中のどげな海でも山でも乗り越えてきた僕とケー100じゃ。僕とケー100にとって不可能という事はなか!」

そして今、紋太とK-100はリョウイチの心配通り霧にまかれてしまっていたのだった。
このまま霧が晴れなければここでキャンプするしかない。しかし紋太はキャンプには慣れているので食料さえあれば心配する事ないと言う。
しかし食料は漬け物屋の木下さん1話15話参照)からもらったヤマガ漬けしかない。
それでも「一食くらい抜いた方が健康にいい」と笑い飛ばす紋太だった。

その頃、リョウイチの母はいつまでたっても戻らないリョウイチの事が心配でノブちゃんに尋ねていた。
ひょっとしたら立山に行ったかもというのを聞き驚く母!軽装で登山なんて!秋の山をなめたらとんでもないことになる!

その夜、焚き火の前でヤマガ漬けを食べてる紋太とリョウイチ。しかししょっぱくてのどが渇いてしょうがない。
その上水も薪も無い事に気が付いた紋太。このあたりは国立公園なのでうかつに枝を切れないが、枯れ木を拾うならいいだろうと懐中電灯を持ち一人行こうとする。しかしリョウイチは「こんな霧の中ではぐれたら最後だよ」と必死に反対するがそれを振り切り紋太は闇の中へ!

なんとかかんとか薪を集めていると、不注意に足を滑らして崖から落ちそうになってしまった!
命からがらはい上がってくるも、紋太は自分がどこにいるか解らなくなってしまった!
とりあえず動かないでおこうとするが予想外の冷え込みに凍えていく紋太。ふとなぜか自分の着ているセーターがほつれているのに気が付いた!
とりあえずそのほつれた糸をたぐっていくとその糸の先には毛布にくるまりしっかりと糸をつかんでいるリョウイチ君の姿が!
なんとリョウイチはもみあってた時にほつれたセーターの糸を掴んでおいたのだ!
リョウチを抱きしめ感激する紋太。
「君が僕のセーターをほつれさせてくれたおかげで助かったんじゃ!ありがとう!」


翌朝、寒さに震えている紋太に寒さしのぎを伝授するリョウイチ。鹿児島生まれの紋太は人一倍寒さに弱いのだ。
とりあえずK-100に薪をくべていつでも動けるようにしておこうとしていると、霧の晴れ間が見えたので紋太は現在位置の確認の為高台に登る事に。

一方リョウイチの母とノブちゃんは2人を捜索する為登山口に来ていた。救援隊を頼むリョウイチの母に
「おおげさじゃね。桜島できたえとるからこんな山、あたし一人で充分じゃ」と豪語するノブちゃん!

紋太は霧の中をはいつくばるように進んでいた。すると突然リョウイチが紋太を呼び戻した。
何が起きたと聞くとK-00が独りでにどこかへ行ってしまったという。
それを聞いた紋太は
「K-100は救援隊を迎えに行ったんじゃ、そういう奴なんじゃ」

そしてK-100は下る途中登山客2人と出会い目の前で止まって見せる。
「なんだこれは?」「リモコンで操縦されてるのか?」怪訝な顔でK-100を見てる2人。
そのうち一人が「利口な犬や馬が飼い主の危険を知らせるって話、よくあるじゃないか」
それを聞いたK-100は汽笛を鳴らすが漫画の見過ぎだと2人は行ってしまい、しかたなくK-100は又走り出した。

その頃、紋太とリョウイチは息も絶え絶え山を歩いていた。
すると紋太にはK-100と救援隊の声が聞こえてくる。しかしリョウイチには何も聞こえない。
K-100が救援隊を連れてきてくれた、と体力を振り絞り先に進むが、そこには救援隊の姿はなくただK-100がいるだけだった。

憔悴しきった顔でK-100に「救援隊はどこじゃ!?」と詰め寄る紋太。
それを必死に止めるリョウイチ。
そこで紋太は我に返り、K-100が救援隊を連れて来られなかった事を悟り思わずその場にへたり込む。

「すまん、嫌がる君を無理矢理連れてきたりして・・・」
うなされるように水をほしがるリョウイチの為にK-100から水を出そうとするがあてにしていたタンクの水はカラだった。
それでK-100も限界まで走っていた事に気が付く紋太。だがまだ少しK-100の中には水がある。
しかしその水を取り出す為にはK-100を壊さなくてはいけない、しかし沖縄に行かなければいけないK-100を壊すわけにはいかない。

「リョウイチ君、許してくれ。K-100にもできん事はあったんじゃ。僕は大馬鹿者じゃK-100と僕のコンビに不可能は無いと思い上がっていたんじゃ」

リョウイチはなんとも思ってないと答えるが次の瞬間、K-100を壊してもリョウイチ君の為に水を取り出す事を決意して、反対するリョウイチを前に紋太はK-100を壊し始める。

しかしリョウイチはK-100の前に立ちはだかり言い放った!
「紋太さんは弱虫だ!水はいらないよ!」
それを見て別人のようだと驚く紋太。
するとそこに半死半生のノブちゃんが。
「桜島と北アルプスじゃ大違いじゃ、助けて・・・」

そこにリョウイチが谷川を見つけたからもう大丈夫と水を持って現れた。
その姿に紋太「いったいいつも間にそげん勇気のある子供になったんじゃ」
「紋太さんと一緒に登山をしたおかげだよ!」明るく答えるリョウイチだった。

そして後日、立山をお母んと登るリョウイチと、それを見送る紋太とノブちゃんの姿があった。
「拝啓、鹿児島のお母さん。僕はこういう訳で立山登山に失敗しました。じゃどんその代わりにリョウイチ君がお守り札を送ってくれるはずです。僕は登山は失敗しましたが、世の中を甘く見てはいけないと一つ利口になりました。この気持ちを忘れずに旅を続けます。ではお母さん、さようなら」
立山アルペンルートを走るK-100。その姿と勇壮な立山連峰に景気良くK-100の汽笛の音が響いて
(つづく)


今回は紋太さん、番組始まって以来の大ピンチです!(しかも命の)
前回ちと甘い話でしたが、それを相殺せんばかりの「世の中をなめちゃいかんのじゃ!」と紋太を襲う大試練!

紋太は以前から調子に乗りやすい所がありましたが、今回見事にたたきのめされてしまいました!
劇中紋太さんのやつれメイクには鬼気せまるものがあります。しかし内容的には内気なリョウイチ君の変わっていく姿が気持ちよく、全体的には清々しい好編に仕上がっています。「おかみさんや」「木下さん」の名前が出てきたのが不意を突かれてちょっと嬉しかったです。

リョウイチ役の松原 和仁さんは同時期「レッドバロン」や「帰ってきたウルトラマン」32話等に出演しています。

リョウイチのお母さん役の福田 公子さんは1950年代から松竹系の映画に出演、その後テレビでもお母さん役がおなじみでやはり「帰ってきたウルトラマン」24話でもお母さん役で出演されています。

さて次回は能登に入ります。お楽しみに!

(2002.11/23up)


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