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「 機関車は親孝行 −舞鶴の巻−」


監督:枝川 弘
脚本:田口 耕三

主なゲスト
ススム・・・江原 和哉
ススムの母・・・大原 百代
クズ屋のおばさん・・・村田 知榮子


K-100は西舞鶴公園(にしまいづるこうえん)を走り抜け、西舞鶴駅前に止まっていた。
そこに男が2人寄ってきて物珍し気にK-100に近づき車体を揺すると,、掛けていた紋太の帽子とジャンパーが道に落ちてしまう。
するとたまたま通りかかったクズ屋のおばさんが「又酔っぱらいの忘れ物か」と持って行ってしまい、顔を洗って戻ってきた紋太はビックリ。

そしてジャンパーと帽子を古着屋に持ち込んで売るおばさん。あれこれ言って少しでも高く買わせ今日のおかず代ができたと意気揚々と古着屋から出てくると10円を拾い、今日は付いてると天を拝む銭には目のないおばさんだった。

一方K-100は、手紙をくれたススム君を捜していた。K-100を降りてキョロキョロしてる紋太を見かけたクズ屋のおばさんは、何を思ったか「セイイチ!、お母ちゃんだよ!」と叫んで駈け寄るが紋太は気付かずに行ってしまった。

そして紋太はススム君と会う。小さい子供を想像していたが高校生くらいの少年だったので驚く紋太。
「K-100ファンに大人も子供もないでしょ」と言うススムに応えるように汽笛を鳴らすK-100。
とりあえず皆でススムの家の仕出し弁当屋に行く事にする。

紋太はススムの母に紹介され、ススムは年末の書き入れ時なので市場に買い出しに行く。
その間、紋太は店を手伝っていた。
しかしススムは、途中クズ屋のおばさんに自転車でぶつかり、おばさんは転倒、リヤカーも壊れてしまう。
病院に連れて行き、たいしたことはなかったのだが、あれこれ難癖つけられて10万という弁償金を請求されてしまう。
困惑している所に帰りが遅いと様子を見に来たK-100が通りかかり事情を聞いた紋太が話をつける事に。

K-100から降りた紋太を見て、おばさんはもはやススムの事はどうでもよくなっていた。
「声までそっくりや・・・」と紋太に近づき後ろや横を向かせてしげしげ眺めるおばさん。
ススムの件をチャラにする代わりに、しばらく一緒に住んでくれと言われて困り果てる紋太だが、ススムを訴えると言われては言うことを聞くしかなかった。

そしてK-100を使いチリ紙交換を始める紋太。遊んでてくれればいいのにと言うおばさんに
「そんな事はできん、タイムイズマネー、だらだら時間を過ごしちゃいかんのじゃ」
と言う紋太はますます気に入られてしまう。

その甲斐あってちり紙交換はなかなかに好評だが、来る客におばさんが紋太の事を息子だと紹介するので抗議をするが
「嘘も方便、親子でやってると言った方が都合がいい事があるんや」となしくずし。
そして古着屋から朝入れたばかりのジャンパーと帽子を売値で買い戻して紋太に与えるおばさん。
ピッタリやと喜んでるが紋太は巡り巡って戻ってきた自分の服にとまどうばかり。

そして2人で集めた古紙の整理をしていると、紋太がその中からダイヤモンドを発見!
このまま貰っておこうと言うおばさんに、断固持ち主を捜して返すという紋太。
黙ってりゃ誰にも解らないと言うおばさんに紋太が一喝!
「神様が知っとる、僕も知っとる!」

そしてK-100に乗って持ち主を捜す紋太とおばさん。無事落とし主を見つけて1万円のお礼を貰ってご機嫌で帰る。その途中、貰ったお礼の1割を紋太に渡さなくちゃとお金を渡そうとするがキッパリ断る紋太。

「あんたほんまに欲の無い男じゃね〜。それに一文にもならんのに、この機関車を沖縄まで持っていくなんて・・・ははは」
「おばさん、世の中万事お金だけじゃなかよ

そして又、年末の大掃除の時期だからもう一回りしようと言う紋太に「タイムイズマネーじゃね」と笑うおばさん。

その頃ススムは、母親に5万円の借金を頼んで断られていた。
しかたなく自分のギターを質屋に持ち込んでお金を作り、おばさんの所へ持って行ってK-100を返してくれるように頼むが聞いてもらえない。
怒ってK-100を連れ戻そうとするがおばさんに「紋太さんは結構この仕事喜んでやってるから無駄だ」と釘を指される。

果たしてススムが見に行くと、精力的にチリ紙交換の仕事をする紋太の姿にススムは責任を感じていた。

その夜、紋太とおばさんは豪勢にスキヤキ鍋を囲んでいた。その席で今日の昼間、ススムが来た事を知る紋太。
ススムは「当分K-100にここで働いて欲しいと言っていた」と聞かされてゲンナリ・・・

ついでに3年前にうちの仕事が嫌で出ていったセイイチの代わりだと思ってる、と言われなんと奥から出してきたオマルをの蓋を開けるように言われる。渋々開けてみるとなんと入っていたのは札束だった!
その金全部あげるからここで一緒に暮らしてくれと言うおばさんにキッパリ断る紋太。
「おばさん!どうしてお金お金って言うんじゃ!僕はお金でなんでも買おうとするおばさんの根性は好かん!人間にはお金で買えん心、誠意という大事なもんがあるはずじゃ!」

お金で買えない物は無いと言うおばさんと口論の最中、突然K-100の汽笛が響いた!
急ぎK-100の元に駆けつけるとK-100は車体を揺らせている。
何かあったのを知らせてるんじゃと紋太は、K-100でも心がある事を証明する為、おばさんも乗せていざ出発!

そしてK-100はススムの家で急停車。丁度ススムが帰ってこないで心配していたススムの母が飛び出してきた所だった。
「母さん、僕の為にK-100がえらい目に遭ってます。その責任は僕がとらなければ、親不孝だった僕を許してください」
それを読んだ紋太さん、愕然としてススムの母も乗せて夜の舞鶴の街をススムを捜して走るケー100!

その頃ススムは、今まさに遮断機が降りようとする踏切の前で一つの決意を固めていた。
電車が迫ってきて目の前を通過する直前、その身を投げ出そうとした瞬間、後ろからK-100の汽笛と共に紋太、ススムの母、おばさんが駆け下りてきて必死でススムを抱きかかえた。
思わず泣いてススムに謝るおばさん。そしてススムはK-100の所に駈け寄ってK-100を抱きしめていた。

次の日、ススムの母がおばさんに新しいリヤカーを提供する事になった。一度は断るも紋太にも勧められて受け取る事にするおばさん。思えばそもそも息子が出ていったのも、お金お金であの子に対して思いやりがなかった為だったと反省する。
「今頃になってそれに気が付くなんて、それも紋太さんのおかげや。ほな紋太さん、気い付けてな」
そして、京都に居る父を迎えにいくついでにと、ススムをK-100に乗せて出発する紋太。

途中紋太とススムは、K-100に早めのお年玉と立ち寄った天の橋立(あまのはしだて)の綺麗さに感激する。
そして高台から見渡す美しい天の橋立の風景が逆さになり股のぞきの画面になって
(つづく)


さて今回は京都府・舞鶴です。舞鶴と言えば「岸壁の母」と言う事なのかどうかは分かりませんが母子話です。

珍しくK-100ファンの少年ではなく青年が出てくる話でした。
ススムとススムの母、おばさんと紋太という構図が少々煩雑になってしまう所をうまくまとめていたと思います。
ただ自殺しようとするまで思い詰めるススムはちょっと極端ではないかとも思いましたが・・・当時の10万なら今のいくらくらいでしょうか?
村田 知榮子さん演じる守銭奴のおばさんと欲のない真っ直ぐな紋太さんの対比が楽しめる話でした。

劇中このおばさんは容姿的にはお婆さんなのですが表記をお婆さんおばさんとどちらにしようか考えましたが「守銭奴のお婆さん」と書くと映像観ていない方に極端なイメージをもたれそうなのと劇中紋太さん等が「おばさん」と言っているのでおばさんで統一しました。

少々残念なのは嘉代がレギュラーだったらもっと話がふくらんだような気がします。
しかし今の感じでも30分の放送時間いっぱいで話が詰め込まれてるので、嘉代まで出てきたら話の雰囲気ももっとドタバタの強い物になって収集つかなくなっちゃいますかね?

ラストの天の橋立の股のぞきは文殊山の展望台からだと思います。まさか知らない方はいないと思いますが股のぞきについて一応書いておきますと天橋立を股の間から逆さに観ると空と海が逆転して本当に天に橋が架かって見えるという昔からのお約束です。

今回石橋は登場せず、ゲストメインのエピソードでもありました。
ちなみにススムの母役の大原 百代さんは26話に登場したキンジョウテツオ君を演じた紺野秀樹氏と「レインボーマン」17〜19話で共演しています。

さて次回は鳥取での凧上げ大会をお楽しみに!

(2003.1/11up)


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