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「 少年は冒険せよ−萩の巻−」


監督:青野 暉
脚本:青野 暉

主なゲスト
シンサク(晋作?)・・・川崎 公明
シンサクの母・・・泉 よし子
シンサクの父・・・織本 順吉


K-100は山口県の日本海側の海岸線を走っていたが、突然動きが獲れなくなりが横に滑り出してしまった。
「どうしたんじゃ!」という紋太の叫びもむなしく、あれよあれよという間に岩肌に叩きつけられるようにようやく止まったK-100から降りる紋太。
すると目の前に黒と白の縞模様が美しいホルンフェルス断層の岸壁を見下ろせ、「そうかこれが見たかったのか」と納得。
しかし「横に走るのはカニか忍者のやる事じゃ、真っ直ぐ走ろう」と軽くたしなめK-100に乗り込み走り出そうとするがK-100は動かない。
困っているとそこに節子がやって来た。

節子の話だとこのホルンフェルス断層には強力な磁場があり、磁石に吸い付く鉄の原理でK-100が吸い寄せられてしまった事が発覚!
「原因が分かったんだから解決策も解るわよね」と言われ紋太さん、機械好きの血が騒ぎ「まかせといてくれ!」俄然興奮!
K-100の車体にグルグルと銅線を巻き付けてそれをバッテリーに繋ぎ、K-100を電磁石化、無事にホルンフェルス断層の磁場からの脱出に成功!
「さすがエンジニアの紋太君!」

そして磁力の影響の無い海岸の松林(おそらくは菊が浜)でK-100の銅線をはずしていると、節子が漂着たらしい小舟の上でぐったりしている少年(シンサク・晋作?)を見つける。意識が無いので持ち物から住所がだとわかりK-100で家まで送り届ける事にし、萩の街に連なる土塀の間を走り抜け一件の萩焼のお店(萩焼窯元 晋作園)にシンサクを担ぎ込む。
そして医者にも診て貰い引き上げようとするが、シンサクの両親に引き留められて紋太はシンサクのうちにお世話になる事にする。

その頃嘉代が、K-100を探し出すためレンタル自転車で指月城(しづきじょう・別名萩城)跡等、萩の町を走り回っていた。

その夜紋太は、シンサクの両親から、シンサクにあまり無茶しないで冒険を思いとどまるように言ってくれと言われていた。
話を聞くとシンサクは、この冬の日本海を小舟で北海道まで行こうとしていたらしい。
そもそも父親が一人っ子でひ弱になってはいけないからと名前も高杉晋作からもらい
「男というのは世間をあっと言わせるようなでかい事をしなくてはいけない」
と育ててきた手前、今更冒険をするなと言えない、との事だ。

僕の言うことなんか聞いてくれるでしょうかと心細げな紋太にシンサクの父親は言った。
「紋太さんは身をもって、鹿児島から北海道、そして日本海沿岸を通ってここまで大旅行をされてきました。シンサクも尊敬する紋太さんの言う事ならきっと聞いてくれるでしょう」
しかしこのやりとりは全部、隣で目を覚ましたシンサクに聞かれていたのだった。

翌日、東行暢夫之墓と書かれている高杉晋作の墓を詣る為、K-100に乗って東光寺(とうこうじ)まで行くシンサクと紋太。
そしてシンサクは高杉晋作の墓の前で冒険への新たな決意に燃えていた。
今年で中学も卒業なので中学時代の最後に力を試したいと紋太の説得に頑として応じない。
「一度や二度の失敗でくじける弱虫じゃないんだ!」

そこに節子が現れ話は全部聞いたとシンサクに、あたしも高杉先生(高杉晋作と言うとシンサクが高杉先生を呼び捨てにするなと怒るのだ)が好き。男としてああでなくっちゃと思う、と持ち上げた後で
「それにもまして敬服するのはとってもユニークな想像力、そしてもう一つ、負けると解ったらサッとしりぞく勇気と忍耐力なの」

それを聞きはっとするシンサク。続ける節子。
「普通は途方もない事をしでかす男として高杉先生は知られてるけど、一番偉いのはそこなのよ」

暫く黙っていたシンサクだが突然走って行ってしまった。

追おうとする紋太だが節子は心配しなくても解ってくれたと思うと言う。
「素直にはい解りましたと言えない年頃なのよ」
紋太は節子の口のうまさにひたすら感心するばかり。
「節子さんって立派なんじゃな、学校の先生になった方がよかと」

家で節子に言われた事で母親の前でしょんぼりしていたシンサクだったが、自分たちがさんざん冒険しろって言っておいて他人に説得を頼むなんて!と言いだし母親は、親が子供の心配するのは当たり前、と口論になってしまう。
そこにお父ちゃんへのおみやげに萩焼でも、と店に入ってきた嘉代が聞きつけ首を突っ込んできた!

嘉代曰く
「今の世の中、間違っとりますぞ!子供がちょっと危ない事しようとするとすぐ止める。それじゃぁ子供は強い子になりもうさんぞ。まぁ昔からよく言うでしょうが、獅子は子供千尋(せんじん)の谷に突き落とす!又、昔の諺に曰く、可愛い子には旅させろ。私もや〜とその事が解ってきたとですよ」
それを聞きシンサクは母親に「母さん、紋太さんもこんな物わかりのいい母親を持ったに違いないよ」
紋太と聞いた嘉代はシンサクから紋太が東光寺に居ると聞き、言うだけ言ってとっとその場からいなくなってしまった。
しかし俄然やる気が復活してきたシンサクは母親に「もう少し考えさせてくれ」と言い放っていた。

そして東光寺に着いた嘉代は紋太と再会!
鹿児島のモチを食べさせようと追いかけてきたのに鳥取、島根と会えず山口になってしまったという事だった。
その好意に感激する紋太だが、しかしせっかく持ってきた餅もカビだらけ。
嘉代もそれを見て愕然。しかしお寺のご厚意でカビを落とし焼いて貰った餅を節子も含めみんなで食べてるとシンサクの母が手紙を持ってやって来た。
「みなさんのおっしゃる事も分かりますが、もう一度だけ挑戦します。今度失敗したら、高校卒業するまであきらめます」

慌てて海まで行くことにする紋太。嘉代と節子は自転車二人乗りでK-100を追う!

途中父親も合流して海に着くとシンサクの小舟はすっかり波に翻弄されていた。
男の子は冒険するくらいで丁度いい、放っておけと言う嘉代だったが、急ぎ救助の支度をして突っ込もうとする紋太には、
「そんな危ない事して母ちゃん心配させるんじゃないじゃろうな!」

そしてかぎ爪付きのロープをシンサクの船に引っかけK-100で岸まで引っ張る紋太。なんとかかんとか岸まで引っ張り上げてシンサク君の救助に成功!
紋太にあやまるシンサク。しかし紋太は、そんな事よりお腹が空いたじゃろうと嘉代が持ってきた餅を差し出し涙ぐみながら食べるシンサク。
そして僕もお腹が空いたと餅を頬張り、のどに詰まったようにびくっとした紋太の顔がストップモーションになって
(つづく)


さて今回は前回すっかり忘れられていた嘉代と節子の登場と、冒険に夢中な無鉄砲な少年の物語・・・と言いたいのですがなんか中途半端な印象が残る回です。

とにかく冒頭のK-100が引きずられるシーンは画的なインパクトに大笑いです。どう見てもスタッフが引きずってます!
その後K-100に巻き付けてるのがどう見ても銅線でなくてゴムにしか見えないですが、それよりも紋太さんはエンジニアでなくて料理人でしょうが節子さん!

しかし節子はシンサク相手には節子でしたが、東光寺での嘉代とのかけあいは本来ならノブちゃんの役所です。
嘉代も石橋に会ってるのはなかった事になってましたが、ず〜っと1週間捜したことになってますので時間経過はあってるようです。

全体的にはサービス精神旺盛な盛り沢山な話、とも言えますが、とにかくラストが性急であわただしく「え!これで終わり?」という印象も拭えません。
冒頭のホルンフェルス断層のくだりに時間を使いすぎじゃないかとも思いますが、まさか現場で脚本書いてたという訳ではないのでしょうがなんかいろんな要素が断片的に入ってくるのでそういう感じがします。平たく言えば未整理。
それでもやはり嘉代と節子が出ているとそれだけで楽しくひいき目になってしまいますが。

シンサクの実家である晋作園というのは架空のお店のようです。看板も名前の所だけ色が違いますし実在した確証が得られませんでした。

今回シンサクを演じた川崎 公明氏はその後歌手になり今も現役で活躍中のようです。(ほぼ確実ですが裏取り中)
泉よし子さんと織本順吉さんは今でも現役なベテランで特に織本氏は一時期現代劇から時代劇まで何観ても出ている時がありました。

次回は唐津でいよいよ九州にK-100は帰ってきます。関門海峡はどうするんでしょう?(記憶にない・・・)それも含めてお楽しみに!

(2003.2/8up)


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