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「 ペテン師がダマされた −唐津の巻−」


監督:枝川 弘
脚本:高橋 二三

主なゲスト
泥棒のおじさん・・・犬塚 弘
マツイ キヌコ・・・ゆうき みほ


K-100は九州佐賀県虹の松原を走っていた。
海岸を走っていると子供達が集まってきて囲まれて走るK-100を、杖を付いた男が浜辺に座り込みじっと見つめていた。

松林の中で薪を捜しに紋太が離れていたK-100の側に、ひょいと現れる石橋。
「ペテン師第一条、常に人の隙を狙うべし」

しかし何やら怪しい気配にK-100から離れてそちらをうかがう石橋。
すると薪を拾って帰る途中紋太が首を吊ろうとしていた男を助けていた。先ほどK-100を見つめていた男だ!

話を聞くと、時価300万円の重要文化財の唐津焼きの茶碗を盗んで逃げる途中足をくじいてしまい、逃げ切れる自信がない為捕まるくらいなら死のうというのだ。
死ぬくらいなら自首をと勧めるが聞き入れられず、この茶碗を事が発覚する前に置いてきた偽物と交換すればいいという事になった。
本人は足をくじいているのでもう二度と悪い事はしないというのを条件に、そのすり替えを紋太が引き受ける事にする。
それを陰から聞いてる石橋が300万円と聞いて黙っているはずがなかった。
「ペテン師第二条、チャンスを逃すべからず!せっかく盗んだ物を元に戻そうなんてとんでもないお話」

さて唐津城の唐津焼き展示場に来た紋太。
ガイドの女性の様子をうかがっていると、そこに石橋がやって来て東京から来た美術記者と名乗り、美術品専門のコソ泥が北九州に潜入したから気を付けるようにとアドバイス。紋太はその場をこそこそ離れるしかなかった。

城の外で「何を企んどるんじゃ!」と石橋に食ってかかる紋太だが、石橋は「心を入れ替えて真人間になって泥棒に気を付けるように注意しただけ」と言い返されて何も言えない。
逆に「紋太さんこそこんな所で何を?」と問われ少し悩んだ末、真人間になったのならと事情を話し協力を仰ぐ事に。

そこで、ガイドの前で紋太が病気の振りをして気を引いてる間に石橋がすり替えるという事になった。
石橋に茶碗を預けるのは危険だから役を逆にと言ってみるが、ガイドに注意したばかりの石橋が又病気になったりしたら怪しまれると言われて納得する紋太。

そして展示場に戻り、打ち合わせ通りに仮病でガイドを引きつけた紋太だが、その隙に石橋は逃亡。
急ぎ後を追う紋太、しかし石橋は城を出た所でK-100に追いつめられ無事茶碗は紋太に戻り、泥棒のおじさんにせかされ今一度チャレンジ!しかしどうにもガイドが邪魔で手が出せない。

こうなれば4時の閉館後に忍び込むしかないと言う紋太。日が暮れるには間があるのでその間に呼子(よぶこ)から船で2,30分の所にある島(壱岐島・いきしま)に渡り、家族の様子を見てきて欲しいと頼まれる。
自分で行けばいいと言う紋太だが
「これを元に戻すまでは私は泥棒だ。真人間になって土産の一つも持って行きたいんです」
と言われ紋太は島へ。
しかし家族はすでに引っ越しどこに行ったか解らなくなっていた。それを聞き10年放って置いた報いか・・・と、うなだれるおじさん。
それを陰から見て指を鳴らす石橋。
「ペテン師第三条、相手の弱点を狙うべし」

「女房も娘もどこに行ってしまったんだ・・・」とうなだれてるおじさんに、自分は保険の外交員だと言い寄る石橋。
自分の所の外交員を総動員すれば人捜しなんてあっと言う間だ言い、それを聞き警戒していたおじさんも興味津々。だから任せてくれと言われ、ついでに茶碗も僕が返しましょうと言う事で茶碗は石橋の手に渡ってしまう。

そんな事になっているとは露知らない紋太は、展示場でガイドの帰りを確認していた。
一方石橋は、箱ごと持って歩くと目立つからと箱から出して懐に抱えるとそのまま走り出した!
それに気が付いたK-100が汽笛を鳴して走り出す!
汽笛で気付いた紋太とおじさんと石橋で茶碗の取り合いになるが、そのはずみで茶碗はガイドの手に。

そんなこんなガイドも巻き込んで茶碗の争奪戦。その最中おじさんは片足痛めたはずなのに両足使って走り回る。
そして最後はK-100が地面に落ちた茶碗を踏みつぶした!
驚く一同!
「おい、K-100!お前ともあろう者がなんという事をしてくれたんじゃ!」
K-100に駈け寄る紋太!

しかしおじさん一人が妙に冷めていた。
実は茶碗は真っ赤な偽物で、人の良さそうな紋太を騙して自分の手を汚さず本物とすり替えようとしていたのだ。
それを聞き呆然とする石橋。
「俺より上だ・・・」

それじゃ、島の家族の話もお涙頂戴の嘘じゃたんじゃな!と怒る紋太に、その話だけは本当だと言うおじさん。
うちの一人娘は「キヌコ」と言うんだ!
その名を聞き表情が変わるガイド。

「お父さん?!」


ガイドはマツイ キヌコといい、今でも母親と壱岐島芦部(あしべ)に住んでいると言う。
しかしそれを聞いたおじさんは人違いだと去っていこうとするが、K-100の汽笛が響き、紋太が捕まえていきなり頬を張り飛ばし一喝!
「いいか、キヌコさんはな、唐津茶碗を展示してある会場のガイドさんなんじゃ!万一あの茶碗を盗み出していたらキヌコさんは責任を問われる所だったんじゃ!自分の娘を困った立場に追い込む所だったんじゃぞ!」

それを聞き愕然とするおじさん。
自分のしてる事が恐ろしくなり今から自首しに行くとキヌコに別れを告げる。
それを慌てて止める紋太、すり替えた後ならともかくまだ犯罪者でないと言う。
「K-100はそれが解ってて茶碗を壊したんじゃ!」
しかし今回は未遂でも過去の罪は償わなきゃいかん、と言うがその前にキヌコと奥さんに会って今の気持ちを伝えておくと言う事で一件落着。

それを陰から見ていた石橋は、
「ペテン師第四条、隙を見てずらかるべし」と、とんずら。

そして呼子の桟橋から壱岐島行きの船に乗るおじさんとキヌコを見送る紋太。
その大きく手を振っている紋太と同じ堤防から船に向かって敬礼をしている石橋の姿があった。
「ペテン師第五条、先輩には敬意を表すべし」

そして又虹ノ松原海岸を走るK-100の雄姿!走しって行くK-100の姿が小さくなっていって、
(つづく)


さてK-100は九州に帰ってきました。
5話で関門海峡をえらく苦労して渡っていたので、戻りはどうだったのかと記憶になかったのですが関門橋の開通は1973年11月14日ですから、ひょっとしたら開通したばかりの関門橋を走ってるカットがあるかもと少し期待していましたが海峡を渡る描写はなくいきなり唐津にいました。
(どうりで記憶にない訳です。)まぁ北海道まで行って有名になったので問題なかったという事ですかね。

お話は石橋顔負けのペテン師の登場に石橋も騙されるという、タイトルまんまの内容です。
今回は舞台もほとんど唐津城から動かずに、石橋とおじさんのペテン師の騙し合いに話が絞り込まれていて紋太さんのお人好し度も高い娯楽作ですが、ラストはなぁなぁにならず犯罪者なのだから罪は償わなくてはいけないという、作り手の道徳観も反映された好篇に仕上がっています。

今回の事も踏まえて振り返ってみますに、当たり前の事ではあるのですが14話29話31話と番組中に出てくる犯罪者は石橋以外はみんな警察に自首するか捕まっていますね。(全て高橋二三氏の脚本の回)
ヒーロー物と違いどうしても犯罪者という形になる為話が重くなりがちですが、やはりこういう姿勢は子供番組だからこそ今のTV制作者の方も大事にして欲しいと思います。

ゲストの犬塚 弘氏は元クレージーキャッツのメンバーで丁度ケー100前後に『怪獣大奮戦ダイゴロウ対ゴリアス』(73年・東宝・円谷プロ)でも主役の発明おじさん役でいい味だしていました。
ゆうき みほさんですが『赤い靴』(72年10月〜73年9月 TBS・東宝)ヒロインを勤めていたそうです。(関屋様からの情報)

さて残す所後9回です。次回もお楽しみに!

(2003.2/15up)


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