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「 奇跡が起った! −平戸の巻−」


監督:枝川 弘
脚本:田口耕三

主なゲスト

ノブオ・・・岩崎 洋也
ジロウの母・・・渡辺 千世
ノブオの父・・・永井 弦哉


K-100と紋太は、日本で一番西にある国鉄の駅「平戸口駅」(今現在は松浦鉄道(MR)となり駅名も「たびら平戸口駅」と改名)前で平戸島へどう渡ろうか考えていると、一人の少年(ノブオ)にロウソクを買ってくれとせがまれる。その押しの強い売り込みに断り切れずに10本購入。するとノブオは平戸島まで行くなら乗せてくれ、とK-100に乗り込んで来た。約束があるからと紋太が困っていると、
「K-100は子供の頼みを聞いてくれるんだろ。フェリーに乗るとお金とられるもん」

その頃フェリー乗り場では、節子がK-100を待ちかねていたがなんとそこには石橋もいた。節子を意識してなんとか話しかける石橋だが節子はけんもほろろ。そうこうしていると節子はフェリー乗り場の案内放送で呼び出されその場を立ち去る。
一人残された石橋は呼び出しの名前を聞き「岡本節子か、愛くるしい人。覚えとこう♪」と上機嫌。

節子を呼びだした電話は紋太だった。節子の取材を手伝うという約束なのに、もう平戸島に渡ってしまったと聞き、急ぎ節子も島に渡る事に。そして又しても石橋に言い寄られるが、ガードの堅い節子は石橋をまったく無視してシャットアウト!

電話が切れてしまったのでK-100の所に戻る紋太だが、すでにノブオの姿はなく、しかたないので手紙をくれたジロウ君を訪ねる事にする。
しかしジロウは友達の掘った落とし穴に引っかかって足を骨折、長崎の病院に入院してると言う。
お茶でも、と言うジロウの母の誘いを断り、病院の住所を聞きお見舞いの手紙を出すことにして街で投函する紋太。
いざK-100に乗り込もうとすると、K-100が汽笛を鳴らしたのでなにかあるか?とあたりを見ると正面から節子が走ってきた。

無事K-100と会う事のできた節子は、沖縄への子供達のおみやげ代くらいは出すんだからと早速K-100でオランダ橋、松浦史料博物館、キリシタン墓地と平戸島を取材巡り。
そのキリシタン墓地でロウソクを供えようと言う話になり、実は節子もノブオからロウソクを買わされていた事を知る。

その頃ノブオは稼いだ金を秘密の場所に隠した後、実家の雑貨店に帰ってきた。
帰ってくる早々店の商品が足りないと言われるがとぼけるノブオ。
そこに石橋がやって来て父親が目を離した好きに又売れそうな物を物色していたが、そこに石橋の話が耳に入ってきた!

石橋曰く、この世知辛い世の中で無報酬で沖縄の子供達に滅び行く機関車を見せに行こうというK-100を応援するため『K-100ファンクラブ』が立ち上がり応援金(額は決めていない)を集めていてK-100のマネージャーたる自分が代表で金を集金していると言う。しかも出資者にはK-100がこの地に来た折りに無償で宣伝して走る特典付き!

それを聞いてたノブオの父はノブオの勧めと向かいの店が1万円出してると知り2万円を石橋に渡す。
金を貰ってほくほくの石橋だが店を出た所でノブオに呼び止められ、嘘をバラされたくなければ半分返せと脅されてノブオに1万円渡す羽目に、しかし同時にK-100が島に来てるのも聞き、急ぎ逃げることにする。

そしてノブオは今まで貯めたお金とその1万円を合わせてジロウの母の所へ。
実はジロウを骨折した落とし穴はノブオの掘った物だったのだ!

一方紋太と節子はザビエル教会にいたが、突然K-100が汽笛を鳴らして車体を揺すりだした!
「K-100がなにか知らせとるようじゃ!」
2人が急いで乗り込むやいなや走り出すK-100。

その頃、石橋は平戸島の桟橋でフェリーに乗り損ねて振り返ると、一直線に走ってくるK-100に一目散に逃げ出した。
桟橋から『松浦史料博物館』と逃げ回るが、階段の上から降りてきたK-100に追いつめられて捕まってしまう。そしてK-100に節子が乗ってるのを見て石橋の叫んだ一言!「岡本節子さん!助けて〜」

神様の前でお前を丸坊主にしてやる!とザビエル教会の前で石橋を詰問する紋太。必死にとぼけて節子に助けを求める石橋だったが、ひょんな事から寄付金を記載した奉加帳を見られて悪事が暴露。紋太の付き添いの元、一件づつ返しに行くことになる。

一方ノブオはジロウの母に、これでジロウの好きな物でも買って長崎にお見舞いに行ってくれと無理矢理稼いだ金を渡していた。
その意外な言葉に呆気にとられるジロウの母。

やがてノブオが家に帰って来るとK-100が居て、中では石橋が金を返している所だった。
ついでにノブオが石橋から騙し取られた2万円の半金をかすめた事と、学校さぼって家の物を勝手に売っていた事が発覚!
ノブオという名前が引っかかり、帰ってきたら勘当だと息巻く父親にとりなす紋太は、ここでジロウを怪我させたのがノブオだという事を知る。それを家の前で聞いていたノブオは、いつの間にかいなくなっていた。

そして紋太はジロウの母に、ジロウを怪我させたのがノブオだったかと確認をすると、ジロウの母は今から貰ったお金を返しに行こうと思っていたと言う。
「酷いいたずらっ子だと思ってましたけど、本当は心の優しい子なんんですね」
これで全てが繋がった!ノブオはジロウの母に詫びる為に学校をさぼってお金を稼いでいた事が!

そこで紋太は急いでノブオを探さないと、とK-100の所で待っている節子と石橋の元に戻ると石橋の様子が変だ。
どういう訳だか教会に連れて行って欲しいと言う。

この平戸島はどこに行っても誰かに見られているような気がして本当に懺悔したくなったと言うのだ。
信用しない紋太だが節子からも、どうやらキリシタンの霊が取り憑いたみたいで改心するのにはもってこいだから教会に連れて行ったらと言われてしまう。

しかし紋太は断固反対!ノブオを探すのが先と「K-100、なんとかノブオ君を見つけだしてくれ!」とK-100にお願いすると汽笛一発、K-100は景気良く応えたが、K-100は一直線に紐差天主堂(ひもさしてんしゅどう)に向かう。

K-100が勘違いしていると思ったその時、今にも壁の上から飛び降りようとするノブオの姿が!
そしてノブオは飛び降りたものの、急ぎ駆けつけたK-100の荷台に落下!事なきを得る。どうしてこんな事をという紋太にノブオは「ジロウ君のように足を、足を折ろうと思って・・・」と泣きじゃくるノブオ。

節子はノブオの窮地を救ったK-100を誉めていると突然石橋が、
「ああ〜、まさしく奇跡だ!先輩(紋太さんの事)!節子さん!僕は本当に心を打たれました。洗礼を受けて今日から信者としてこの教会に住み込みます!」
言うやいなや石橋は教会に駆け込んで行ってしまった。

翌日、桟橋からジロウの見舞いに行くジロウの母とノブオの姿があった。
紋太はそれを見送り、節子と合流して又キリシタン村の取材に行こうとするとそこに現れる石橋。
昨日一晩かかって頼んでも洗礼を受けさせてもらえないからどうしたらいいか、と訴える石橋にかまわず紋太も節子もK-100に乗って行ってしまう。

その2人を追う石橋の姿がストップモーションになって
(つづく)


今回は実にバランスよく登場人物達が絡み合っていて非常に気持ちのいい一篇でした。

内容的には手の付けられないいじめっ子(ガキ大将)が実はいい奴という、今ではすっかり絶滅してしまった話です。
それに加えて「愛くるしい」(久しぶりに聞きますが可愛いとか綺麗とかでなくなんか良い言葉です)節子さん!魅力炸裂させていました。
初めて節子と共演した石橋の節子に対するメロメロなリアクションが飛ばしていて実に楽しく笑わせて貰いました。
(特に最初に話しかけて飴を頬張りながら話すシーンは最高です)

観光的な部分もうまく入っているなかなかの快作であっという間の30分でした。

地理的には後半、石橋が捕まるときにザビエル教会を基点に行ったりきたりするのは地元の人には非常に不自然に写るだろうと思うくらい離れています。
劇中島までフェリーで行き来していましたが1977年に平戸大橋が開通していて今フェリーはもっぱら観光用だそうです。
ストーリー中にも記載してありますが冒頭紋太さんの言う日本最西端の駅、国鉄「平戸口駅」は今現在は松浦鉄道(MR)となり駅名も「たびら平戸口駅」と改名されています。

さて次回は長崎です。残り8回お見逃し無く!

(2003.2/22up)


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