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「 機関車と不良少女 −長崎の巻−」


監督:青野 暉
脚本:田口 耕三

主なゲスト

ヒロシの父・・・中島 元


K-100は手紙をくれたミナミヒロシ君に会うために長崎のオランダ坂を走っていた。
「長崎には、昔我が国唯一の貿易港として栄えた頃の遺跡や面影がいたる所に残っています。食べ物だって、卓袱料理(しっぽくりょうり)だのチャンポンだの、よその土地にないおいしい物がたくさんあります。」

という事で紋太は長崎新地中華街の中華料理屋(王龍)で腹ごしらえ。そこで一人の女の子(イガラシユカ)から声をかけられる。
話を聞くとヨットで世界一周する為に募金を集めてると言う。K-100で日本中を走ってる紋太さんを見込んで、と言われては断れず500円募金しようと千円渡しておつりをもらおうとするも、ちゃっかり千円取られてしまった。その後なんと彼女のおみやげ代まで店の人から請求されて急ぎ姿を探すがどこにも見えない。それでも「ま、しょうがなか」で済ませて出発する紋太だった。

その頃ユカは天后堂の陰で今日の収穫に一人ほくそ笑んでいたが、そこに石橋が登場!「誰!?」と問うユカに口上一発!
「わたくし、姓は石橋、名は正彦。この世の中を口先一丁で面白おかしく渡り歩いてる者でござんす」
石橋はカヨの行動をずっと追っていてなんでお金が欲しいのか、話してくれれば僕の知恵を貸そうと持ちかける。

そんな事とは露知らず、紋太はめがね橋の脇を抜けてヒロシの家へ。
しかしヒロシは家の集金のお金を使い込んだという事で勘当されていた。

ヒロシの母から事情を聞きK-100はヒロシ君のいる26聖人殉教の丘へ。
そしてK-100は聖人像の前の広場で牛乳を売ってるヒロシ君の前へやって来た。
K-100を目の前にヒロシは「K-100に会わせる顔がない」と慌ててしゃがみ込んで隠れるが、そんな事はおかまいなしに声をかける紋太。

遊びに集金のお金を使ったかどうか、理由はどうあれ集金のお金を使ったのは本当なので、家に返済の為牛乳屋で住み込みでバイトをしているから忙しいと言うヒロシ。
それなら僕とK-100も手伝うと牛乳瓶の入ったおけにK-100のボイラーのお湯を入れて暖め、K-100は客寄せに汽笛を鳴らした。

一方その頃、石橋の泊まってるホテルでユカと石橋はK-100を使った金儲けの手立てを企んでいた。
話が決まり前祝いと卓袱料理で卓を囲む2人。その量の多さに驚くユカ。
石橋曰く「卓袱料理というのは二人前や三人前じゃ作ってくれないの。ユカちゃんとの共同事業の前祝いに張り込んでみました」
勘定の件も話はついているので心配なしと石橋に言われ箸をとるユカ。
そのおいしさにおみやげが欲しいと遠慮がちに石橋に言う、そんなユカに意外と親孝行なんだと気前よく引き受ける石橋だった。

その夜ユカは、昼間紋太さんからせしめた餃子、シュウマイ、そして卓袱料理を持って妹(イツコ)の入院している病室にいた。
目を覚ましてユカの用意したご馳走に喜ぶイツコ、食事の間ユカはイツコの事を気遣っていた。

翌朝、ヒロシの住み込んでる牛乳屋(吉田牛乳店)の前に止めてたK-100の中で目を覚ます紋太さん。朝から牛乳を配達に大急がし。
そして空き瓶を回収して戻るとK-100の前にユカが立っていた。駆け寄ってとりあえず昨日の一件を怒るが朝から何も食べてなかったからと素直に謝られ意気消沈。そしてせっかく集めたお金を盗まれたので死ぬと言われて、結局まんまとユカのお金を稼ぐのをK-100と手伝うと約束してしまった紋太だった。

そしてK-100はホテルの宿泊客相手に市内観光をする事に。客はホテルで石橋が手配済みだった。
「あの評判のK-100が皆様のお相手をするんです。しかも今なら美人のガイドの説明付きでお二人様セット2000円とお安くなっております。今なら先着50名様に限り周遊券発売中!」

K-100にユカの声で録音された案内のテープをセットしてお客を乗せていざ出発。
大浦天主堂(おおうらてんしゅどう)から崇福寺(そうふくじ)グラバー邸興福寺(こうふくじ)長崎平和公園と廻ってホテルに戻ってくるとそこにはすでに大勢のお客が順番待ちをしていた。その行列に唖然とする紋太。

その頃石橋はホテルの部屋で金勘定、そして分け前をユカに渡すがなかなか納得しないユカ。
「アイディアを出したのは僕だよ!」
「でもK-100を口説いたのはあたしの名演技よ!、文句あんの!」
その勢いに感心して金を渡す石橋。このまま地方でくすぶらせておくのは惜しいな!このままコンビを組んで気ままな旅に出ないかと誘ってみるがユカは
「あたしは長崎を離れられない訳がある」と断られてしまう。

一方紋太は、大勢の客を相手に今日はもうK-100も疲れ切ってるので終わりにしたいと言うが、金を前払いしている客は納得しない。しかも夜の部の客までいる事が発覚。そこにヒロシがやって来て事情を聞くが、とにかくユカに会いに行こうとヒロシを乗せて、朝ユカと会った所に行ってみる事にする

しかしこの辺りには住んでいないとなぜかヒロシが断言。とにかくお客さんにお金を返そうとホテルに戻る紋太にヒロシは、友達と約束があるからと嘘をつき、家にお金を借りに帰った。お金を渡そうとする母親に、勘当した奴に金なんか渡すなと怒る父。
「どうせまた遊びに使うんだろう、うちはお前みたいなぐうたら息子には用はなか。出てけ!」
そう言われて家の前から駆けだし通りに出るとそこに紋太とK-100がいた。
実はそんな事だろうと見張っていたらしい。

結局紋太は北海道を発つ時に父親からもらったお金(26話参照)を使って返済する事にする。
「沖縄の子供に何かお土産をと思ったんじゃが、この場合しかたなか」
そしてヒロシにもお金を渡して、これでお父さんと仲直りを言うがそこでヒロシは告白をする。
実はヒロシはユカにお金を脅し取られてのだと。

その頃ユカは、イツコにK-100が見たいとせがまれて困っていた。
しかしその時K-100は、どこにいくのかととまどう紋太とヒロシを乗せて猛然と病院に向かって走っていた!

そして病院の窓の下に止まり汽笛を鳴らすK-100を、一目見ようとベットから飛び出しベランダから手を振るイツコ。
そんなイツコを見てK-100の行動に納得する紋太はイツコの名前を聞き、なんで入院してるのか聞くがよくわからないが定期的に入院しなくてはいけない難病らしい。出るに出られずなんとか部屋の中からイツコに風が冷たいから早く戻るようにと部屋に戻すユカ。

急に見えなくなったイツコに、記念にK-100の写真を渡してあげようと紋太とヒロシが病室まで行くと部屋の前でユカとばったり!
そこでイツコがユカの妹であった事も発覚。警察でもどこへでも行くから、妹には言わないでと頼まれる紋太。病室でイツコの枕元にK-100の写真をそっと置いてふと顔を上げると、ポケットからお金を出して差し出すユカの姿があった。

そして紋太とヒロシは事情が解った事もありヒロシの家へ行くが、相変わらずヒロシの父は仕事で虎の彫刻のような物を作っていて口を利かない。やっと口を開いたかと思えば「女に脅かされて金を取られるなんて情けない」と。
するとヒロシ「喧嘩は下手でも細工はできるよ」と父の前に出した手製の虎。
それを見て「これが虎か」と悪態を付きつつも仕事の手を止めて嬉しそうに手直しをする父だった。

そしてユカはヒロシの働いていた牛乳店でのバイトを決めていた。
そこに通りかかったK-100と紋太に「格好悪いけどイツコの為にしかたないわ」と言うユカに紋太は、
「どんな仕事でも働く事は格好悪くなか」
イツコの病気をなんとか直るまでがんばると言うユカに、イツコちゃんによろしく言ってくれと言うとK-100も汽笛を鳴らす。
「ほら、K-100もよろしく言ってくれと言っとる」

そしてユカに見送られてK-100は出発する。長崎港を見下ろし、走るK-100の姿がストップモーションになって
(つづく)


さて今回は紋太さん、振り回されっぱなしの巻!
ドラマ的にユカとイツコのエピソードがメインであったなら泣きのエピソードなのですが、石橋とユカの悪巧みに翻弄される紋太さんという感じでイツコのくだりはあっさり扱われていて、全体的に長崎の観光的な面を全面に押し出した軽い一遍になっています。

ケー100は今の感覚で考えると番組的にはあって当然なタイアップ臭い描写や台詞は不思議とありませんでしたので、石橋とユカの卓袱料理(しっぽくりょうり)のくだりはちょっと説明臭くてケー100的には珍しい台詞回しだな〜と思ってしまいました。

ちなみに卓袱料理とは、
卓は食卓で、袱はテーブルかけの意味です。シッポクと言うのは中国音ではなく、当時町宿 などで広南東京(トンキン)の人達が言っているのを長崎の人が訛ったといわれ、料理の形式 を現します。  卓袱は八僊卓(パツエンチョ)とか卓子或(チョツウ)は単に卓(チョ)ともいわれました。  長崎では朱塗りの円いお膳を「しっぽく」と呼ぶことがあり卓袱の食事といえば、一つのテ ーブルを囲んでいろいろの器に盛られた料理をなごやかな雰囲気で飲んで、食べて、話して楽 しむ会食のことです。
との事でだいたい7〜8人で頼む料理のようです。

今回石橋はやるだけやってトンズラです。
と言うかまったく無かった事になっていましたがそもそも先週改心したんじゃなかったのかい!?


劇中、ヒロシのお父さんの職業がよく解りませんでした。長崎で細工物といったら貝かべっ甲なんですけども・・・
それにつけてもラストシーン、「なんじゃこりゃ?」と言う感じで走っていくK-100に本気で驚いてる着物姿のおばさんがいましたね。(笑

ちょと今回はゲストの特定は調査中です。(解り次第追加します)


「唐津」「平戸」「長崎」そして次回は「天草」と九州に戻ってからは不思議とゆっくり進んでいるK-100です。
次回は節子も登場します。それも含めてお楽しみに!

(2003.3/1up)


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