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「 ペテン師騒動 −福井の巻−」


監督:枝川 弘
脚本:高橋 二三

主なゲスト
越前屋熊太郎・・・庄司永健
福井屋正吉・・・人見きよし
コウタロウ(尺八青年)・・・成川哲夫


K-100と紋太は福井県越前海岸(えちぜんかいがん)の景色を堪能しながら呑気に走っていた。

越前の港では、落ちていた腐った魚が2件の網元どちらの魚かで、越前屋の息子(フクイ マコト)と、福井屋の息子(フクイ タダシ)で喧嘩が始まりそうになっていた。この越前の町では今、越前屋と福井屋の2件の網元が張り合ってたが、その争いはおのずとその子供達の間にも浸透していたのである。

その頃紋太は、そんな事情も知らずに越前岬(えちぜんみさき)呼鳥門(こちょうもん)で、鹿児島に帰ったノブちゃんからの手紙を読んでいた。

「前略、紋太さん。元気に旅を続けていますか?私はお店が忙しいので女将さんに呼び戻されて今は鹿児島です。一緒に旅行ができなくて、本当に、本当に残念です。紋太さん、体に気を付けて頑張って下さい。のぶより。紋太様」

「そうかノブちゃんは鹿児島か…。ま、その内会えるじゃろ」と手紙をしまってK-100の方を見ると、トラックが止まり越前屋とマコトが降りてきた。
そこで話を聞くとマコトはK-100に手紙を10枚出したらしいが、なんと福井屋のタダシが11枚出していたと聞き、マコトをしかりつける熊太郎!
「福井屋の倅に葉書1枚差付けられたな!馬鹿もん!」
そんなこんなでK-100と紋太は越前屋に泊まる事となった。

どど〜んと家の前に「日本一周ケー100御滞在所」(画面では在所の文字は確認できませんので想像)の立て看板を掲げる熊太郎。マコトは紋太の荷物を取りにK-100の所に行くとそこにタダシがK-100を見つけてやって来た。すかさずマコトは「紋太さんはうちに泊まるんだぞ〜」と自慢。それを聞いたタダシは悔しそうに去っていた。

紋太がマコトに荷物を預けている所にふらっと現れたのは、稚内から鹿児島まで徒歩旅行中のあの尺八青年のコウタロウだ!(27話参照)再会を喜ぶ紋太。「自然の物を食べてれば公害には縁がない」と手に持った草を勧められるが辞退する紋太に大事な話があると言う。

「この町は2人の網元が、町を2つに分けて支配しているらしい。だからおぬしがその一方の世話になると、もめ事の種になる。何事も自然の流れに逆らうとろくな事がない。じゃぁな」

言うだけ言って去っていくコウタロウを見送りちょっと後悔する紋太。
しかし岩陰にはそれを聞き何やら企む石橋の姿があった。

福井屋のタダシは父親に泣きついていた。父親はK-100は知らなかったが、とにかく越前屋に得意顔をさせておく訳にはいかないと思案。そこに「K-100のマネージャー」と名乗り石橋が現れた!
K-100はどこに泊まるか自分次第と言う石橋に、金はいくらでも払うからK-100をうちに連れてきてと言う福井屋。
それを聞き喜ぶタダシ
「見ていろ!越前屋のマコトの奴!」

その夜、K-100のライトに袋を被せて釜の水を抜き取る石橋。
翌日、紋太がK-100を走らせているとやたらと調子が悪い。海岸に止めるとそこにコウタロウがやって来た。
「まだこの町にいるのか?」と問うコウタロウに、網元に荷物を押さえられて動けないと言う紋太。
とっとそんな機械は捨てて足で歩けとコウタロウは言うが、紋太は反論。
「全国の子供達にケー100を見せる事が僕の旅の目的なんじゃ!」

と、走り出したK-100に子供達が集まってくるが、気が付くと釜が赤くなりオーバーヒートで爆発寸前!
釜を開けて冷やさないといけないが、熱くて手が出せない。そこに現れた石橋がコートで手を包み釜の蓋をこじ開けた!
石橋からしたらK-100が壊れたら元も子もないので飛び出すタイミングを見計らっていたのだが、その決死の行動の石橋に感激して「この恩は一生忘れん」と言う紋太だった。

修理工場では熊太郎が、金に糸目はつけんから突貫作業でやってくれ、と激を飛ばしていた。そんな熊太郎に遠慮して修理代はバイトして払うと言う紋太。金の事は気にするなという熊太郎だが、紋太は結局港でバイトを始める。

そこにマコトとタダシが、友達と集めたというお金を修理代に使ってと持ってきた。
又そこで喧嘩が始まりそうになり仲介する紋太。しかし先祖代々敵同士だから仲良くする訳にはいかない、と言うので紋太も、君たちのお金は受け取れないと断る。しかしタダシはその後、石橋にそのお金を預けてしまった。

K-100が直ったと言う事でマコトと修理工場へ取りに行った紋太は、修理代は越前屋にと言う事でK-100がすでに引き取られて行ったと聞き愕然。

その頃K-100は石橋の手で福井屋にあった。
石橋は、越前屋の悪口を言い福井屋のご機嫌を取りつつ、紋太は自分の助手でただの運転手だ、と言い切り福井屋にの話を切り出す。
K-100が全国を回っている目的は、蒸気機関車を保存する為のキャンペーンだと言われ金を渡す福井屋。明日新聞に寄付金の額と名前が載ると聞いてご満悦で石橋を送り出すが、石橋はマコトと越前屋の若い衆に取り囲まれてしまった!

留守の網元に替わって、貴様かK-100を日本海の荒波にたたき込んでやると脅される石橋。マコトはK-100は水に浮くから無駄だというが、若い衆は面子の問題だと言う。船でK-100を海に引きずり込むと聞き、K-100のパワーと船のパワーを計算して勝算ありと踏む石橋はその勝負を受ける事にする!

やがて港では、石橋がK-00にカロリーの高いコークスをくべて、勝負をしようとしていた。
K-100はライトに袋を被せられて何も知らない・・・

そこにコウタロウもやって来て勝負を見物する事に、しかしK-100の釜はその熱で見る見る赤くなっていった。
タダシとマコトがK-100を心配してやめさせようとするが、石橋は言う事を聞かずにコークスを入れ続ける。
「僕の計算によればOK、OK!」
そして石橋のかけ声で船との勝負が始まる。
一度は海岸ギリギリまで引っ張られるが船を引っ張り返して逆転勝ちを決めるK-100。
「計算通り、つまりは僕の勝利!」

その頃紋太は、まだK-100を捜して走り回っていたが、コウタロウから事の顛末を聞かされ急ぎ港へ!
するとそこにはもう石橋もK-100の姿はなかった。
「あのペテン師が!」

そしてK-100を探しに行こうとするが、そこに越前屋が現れ紋太を裏切り者呼ばわりして立ちはだかった。
そこでペテン師にしてやられたと知る越前屋。
しかし福井屋と越前屋は、だまされたお金をどうしてくれると紋太に食い下がった。福井屋は寄付金として5万円、越前屋は修理代の5万円、おまけに子供達のお金まで、いったいどうするつもりかと2人に挟まれてタジタジの紋太。

グルでないならすぐに奴を警察に突き出せ!と言われるが、紋太の中ではこの前オーバーヒートで爆発寸前のK-100を救ってくれた石橋に「この恩は一生忘れん」と言った事が引っかかっていた。

そんな紋太に、なおも詰め寄る越前屋と福井屋にこまりはてた紋太の顔がストップモーションになって
(つづく)


さて今回は尺八青年の再登場、石橋大暗躍と盛り沢山の内容です。実にあっという間に30分が終了してしまいました。
石橋が少々暴走気味に話を引っ張り、この回を境にペテン師の肩書きがつきます。しかしK-100のマネージャーと名乗り相手に取り入るところは「ゲゲゲの鬼太郎」ネズミ男まんまですね。

前回で降板してしまったノブちゃんは声だけの出演でした。声だけでも出演しているとは思わなかったので嬉しい誤算でした。
しかし声だけでも出演しているという事は、やはりスケジュール的に地方ロケは不可能になったんでしょうね。
それにつけても尺八青年はあいかわらずですね〜次々とレギュラーが去っていく中、以前のキャラクターの再登場は嬉しい事です。
しかし彼はK-100と同じスピードで歩いてきてるのか!?

うがった見方をすれば尺八青年の再登場はレギュラーがいなくなり、紋太側のキャラがいなくなってしまった苦肉の策とも思えてしまいますが?

越前屋の庄司永健氏はベテランですが記憶に残っているのは「西部警察」(79年・TV朝日)の二宮係長役ですね。

福井屋の人見きよし氏は60年代から主に人情喜劇で活躍、その後TVの子供番組にも多数出演されています。
個人的には「怪獣大奮戦 ダイゴロウ対ゴリアス」(72年・東宝・円谷プロ)のTV司会者役で覚えている方です。

さてペテン師の策略と、いがみ合うが故に騙された2人の我が儘に板挟みになってしまった、お人好しの紋太さんはどう切り抜けるのか!
次回お楽しみに!

(2002.12/14up)


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