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「 名産はカマ焼きの壷?−金沢の巻−」


監督:青野 暉
脚本:田口 耕三

主なゲスト
サナエ・・・北川 美佳
トオル・・・亀田秀紀
トオルとサナエの父・・・北沢 彪


K-100は金沢城を横目にひた走っていた。
手紙をくれたトオル君に会う前に、久しぶりにおしゃれをしてから尋ねようと紋太は床屋へ、K-100はガソリンスタンドで洗車をしてもらう事に。

その頃ノブちゃんは、おかみさんから急に帰ってくるようにとの切符入りの手紙が届いていて一人思い悩んでいた。
そんな事とは露知らずK-100はピカピカに、そして紋太も床屋でくつろいでいると、あのペテン師石橋正彦が入ってきた。
「髭も剃ったし頭も洗ってあるから、カットだけしてもらおうかな。それからね、ポマードやローションは僕持ってきてるから、最低料金でやってくれたまえ」
こりゃいかん、と気付かれない内に帰ろうとするが見つかってしまい、声をかけられるがその場はなんとか切り抜ける紋太。

K-100は武家邸町(ぶけやしきまち)を走り抜け目指すトオルの家に。
かなり立派なお屋敷で、紋太が声をかけると家の奥で瀬戸物の割れる音と言い争う声が!

実はトオルの家は九谷焼窯元で、今その九谷焼の事でトオルの父と姉(サナエ)が口論している所だった。
「あたしはあたしの九谷焼が作りたいの!」
サナエの焼く物は九谷ではない、2,3年美術学校行ったくらいで思い上がるな!
とサナエの作品を叩き壊す父にサナエは猛反発!勢い家を出ると宣言した所に紋太が割って入るが、サナエは聞く耳をもたない。なおかつトオルの友達なら丁度いいと荷物を運んでくれと言う。
父親に話してみても「どっか目のつかないところにほうってこい!」とこちらもけんもほろろ・・・

トオルも留守なので、しかたなく紋太はサナエを友達の家まで送っていく事にする。
道々、父は女は焼き物なんかしないで家事に専念してればいいと思ってると説明するサナエ。

そしてノブちゃんはまだ思い悩んでいた。送られてきた切符の汽車の時間は迫ってくる。とにかく一目紋太さんい会ってからでないとと思っていた所にK-100の汽笛が聞こえて、慌てて後を追うが紋太は気付かず走り去ってしまった。
そのK-100の後ろ姿にノブちゃんは別れを告げた。
「紋太さん。元気でね・・・」

サナエはあてにしていた友達のうち(あめ(飴)の俵屋)に断られて、紋太に旅館まで送ってもらうよう頼んでいた。
トオル君に会うのが遅れる、と言うと、トオルは今金沢にいないと言う。
怒ってはみたものの「どうする、K-100?」とK-100に聞くとK-100は汽笛を鳴らした。
それを見て驚くサナエ!

とりあえず旅館(すみよしや)に行くと部屋は空いてないとたらい回し。5件目に石橋がいて自分の部屋を提供すると言う。
九谷焼を焼いてると聞いて俄然応援すると張り切る石橋は、その翌日サナエを尋ね、なんでも相談にのると言う。
サナエは資金が乏しいので焼き物でも作って売りたいけど釜が無いので知恵を貸して欲しいと頼む。
どうしたものかと考えていると身近に心当たりが!そしてサナエに作戦を伝授する石橋。

さて紋太がK-100を磨いているとそこにサナエがやって来た。
トオル君にこちらから会いにいこうかと言うと、戻ってくるよう連絡したが4日後になってしまうと言う。
トオルが言うにはと前置きして、その間にサナエの焼き物作りにK-100の釜を貸して協力して欲しいと頼むサナエ。
無理だと一度は断るがトオルの頼みだからと、ねばられてダメ押しに
「K-100は噂ほどじゃないのかしら」

と言われ、カチンと来た紋太とK-100は釜を貸すことになってしまった。
それを陰から見ていた石橋は早速その情報を新聞社に流して取材に来てもらう事にする。

サナエはとても九谷とは思えないサイケな柄を彩色し、紋太は薪と火力を上げる為ガソリンも調達するはめに。
そこに金沢日報の記者が来て取材が始まる。

そしていよいよ火入れ、K-100の煙突からは黒煙が沸き上がりサナエの指示で次々と薪を入れ火力を上げる紋太。
「もう限界じゃ」と言うがサナエは聞き入れず自分で容赦なく薪をくべていく。
K-100のボディーは熱のため赤く光り出してしまうがサナエはやめようとしない。

そしてなんとか焼き上がりその完成品に満足するサナエと石橋。
K-100は金の卵だから子供達に見せて歩くだけじゃ宝の持ち腐れと言い、今後も焼き物を焼いて「ケー100焼き」と名付ければボロ儲けと言う石橋。一応気はとがめるのか、少ししんんみりと紋太が承知しないだろうと言うサナエ。
「あの人、K-100が可哀想だと、出来映えも見てくれないのよ」

そして必死にK-100の整備をしている紋太の所に、新聞を見て驚いて帰ってきたと言うトオルが現れた。
そこで騙された事に気が付く紋太。急ぎサナエの所に行くが石橋と共に焼き物を売りに出かけた後だった。

金沢の町を走るK-100、すると突然K-100が汽笛を鳴らした!
「トオル君、K-100が見つけたらしいぞ!」

その頃サナエと石橋は美術商(山崎美術工芸館 )で、意気揚々と作品を見せたのだが、なぜか焼き物は全部割れてしまっていた。そこに駆けつけるK-100!入れ違いに石橋はそそくさと逃げ出していた。

一人残されたサナエを問いつめる紋太。ふと割れた焼き物が目に入る「これは・・・?」
すると奥からサナエの父親が現れた。ここの主人とは昵懇なので、娘が作品を売りに来ると教え、裏で様子を見ていたと言う。
割れた陶器を見て「やっぱり、思った通りだ」と言う父親に反発して、もう一度K-100で焼かせてくれと紋太に頼むサナエ。
父親からも頼まれてしまい、今回限りという約束で、今度はサナエと父親の作品を一緒に焼く事になった。

そして父の工房でサナエと2人作業に取り組み、いざK-100で焼き上げてみると一見二つ共うまく焼き上がって見えた物の、みんなの目の前でピシっとサナエの作品にはヒビが入ってしまった!
それを見てサナエはその場から走り去ってしまう。

改めて部屋の中で父親の作品を眺める紋太とトオル。
「父さんのヒビ一つできんのやな〜」
「わしの力だけじゃないがやぞ。K-100がわしに力を貸してくれたんじゃ。焼き物には魂がこもる。それをK-100が教えてくれたんじゃ」
ふと裏に回ると、そこには薪を運ぶサナエの姿があった。今日から、一から勉強し直しと言うサナエ。
「父さん、一生懸命やるからぜひ指導してね」
うなずくお父さんを見て笑顔になる紋太。

そしてK-100は金沢を後にする。K-100を待っている子供達の為に。
(つづく)


今回ちと32話と被る焼き物ネタです。
その為「又か」という印象が拭えませんが、石橋の存在で差別化に成功しているようです。

石橋が新キャラの為か新鮮に映り、紋太は人の良さだけが目立って存在感の妙に薄い回でもあります。
(まぁ騙され、利用され、子供に指摘されて気が付くというのは紋太らしいと言えばそうなのですが)
なんとなく次に石橋が何やるかがほのかに楽しみになってきてしまうのは、制作者の狙い通りなのでしょうか?

この話もK-100の釜が赤くなる所ははっきり記憶していて個人的には印象深い話です。
でも焼いた陶器が割れたのは温度が低かった為、と理屈があったと思っていましたが勘違いだったみたいです。

劇中出てました「あめ(飴)の俵屋」と旅館「すみよしや」は金沢では老舗中の老舗で今現在も営業しています。

それにもまして衝撃の事実が!
ノブちゃん退場!?
あ、あんなあっさり?
確かにいきなりいなくなったという印象はあったのですが、せめてもう少しなんとかならなかったものか。
それとももうギリギリのスケジュールでああしかできなかったのでしょうか?
(どう考えてもノブちゃんのシーンは1日(半日?)で撮られている!)

ひょっとして入れ替わりに節子の復帰という線は・・・?

サナエ役の北川 美佳さんは現在TVで活躍中の三船美佳さんのお母様で、海外で日本ブームの火付け役となった大ヒットドラマ『SHOGUN』にも喜多川美佳名義で出演されてますが、この当時から比較的時代劇の出演が多かったみたいです。(三船プロの関係かな?)

トオル役の亀田秀紀氏はウルトラマンレオやキカイダー01に出演していました。
サナエとトオルの父親をしてらした北沢 彪氏は同時期のTV作品では「タイガーセブン」(73年・フジテレビ)で主人公の父親役で出演していました。

さて次回は後半初の前後編、27話の尺八青年も再登場するようです。お楽しみに!

(2002.12/up)


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